山茶花の小説
3000HITリクエストでロスカノ その5

 蘇った数日後には、盛大なパーティも開いてもらえた。実質的に俺が一番最後に蘇ってきたわけだから、全員一緒に祝えると言うわけだ。

 幾分大人びた懐かしい顔顔顔。流石に、黄金聖闘士が12人揃うと圧観だ。

「これで、やっと黄金聖闘士が全員そろいましたね」
 にこやかなアテナが乾杯の挨拶をする。
「本来なら、ここにもうひとり居てほしかったのですけど、自然災害相手ではいたしかたありませんわね」
「まぁ、あやつはもともと員数外なので大勢に問題はないがの」
 残念そうなアテナにチラリと眼をやったシオン教皇が意味深な言葉をかける。
「シオン!このたびの聖戦には彼はなくてはならない働きをしたのですよ。員数外はあんまりじゃなくて」
「…おやさしいことですな、我らがアテナ。貴女のお言葉に免じて員数外は取り消すとしましょう」

 やけによそよそしいシオン教皇の態度に視線の先に眼をやると、蒼褪め唇をかんだサガに行き当たった。やっぱり、お互い蘇ったとしても心からの和解には至ってないのだろう。

 俺はオレンジジュースを片手に、うなだれているサガの所へ向かった。一応は未成年なので、こういった公の場では飲酒厳禁だ。
「やぁ、アイオロス。逆賊の顔を見に来たのかい?」
 にやりとらしくない笑い方をするサガをいさめて、諍いの原因を尋ねるが、思った通り明快な答えは返ってこなかった。
 
「よぉ、流石だね。もぅ仲直りしちまったのかい?まぁね、何時までもくよくよ悩んでたって仕方ないものな。それこそアイオロスの好きな気が晴れるまで川原で殴り合いのコースだよな、これって」
 急に乱入してきたミロの言葉に、二人して顔を見合わせる。
「いや、その…まだなんだが、その…ミロはカミュと川原で殴り合いをしたのか?」
 おずおずと、サガが機嫌をうかがうように問いかければ豪華な巻き毛の蠍座の聖闘士は豪快に笑い飛ばす。

「そんな事、おれたちがするわけねぇじゃん!軽く拳をぶっつけあって『ただいま』『おかえり』でしまいさ。俺らに言葉は必要ないぜ」
 なおも笑い転げるミロを横目に、サガはぎこちない謝罪の言葉を口にした。
「その、つまらない企てに巻き込んですまなかった」
「まったくだ。このような背信行為は二度目はないと思えよ」
「善処しよう」
「善処じゃあ困るな」
「では、アテナに誓おう」
「うむ、ではアテナに」
 ふたりは、軽く拳をぶっけあって13年分のわだかまりを手放した。


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あきゅろす。
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