裏小説 二 「おっ!サンキュー。」 嬉しそうに言ったギュンターはゴソゴソとズボンのポケットをあさりだす。 「騎士殿、魔道具をポケットに入れてるのですか?魔道具は貴方と違って繊細なのです。ポケットにな「有った有った!」 ヤガーの言葉を遮るギュンターの言葉に顔を上げてその手にある物を見たヤガーの動きが止まった。 「は?」 ギュンターがにこやかに持つ物体は、ピンク色の小さな卵型の物体だった。ツルツルとした素材で出来たそれは指で摘める程の大きさで、その先には長いコードがあり小さな機械に繋がっていた。 「これ、ここを動かすと動くんだ!」 カチカチという音をさせてギュンターが機械を操作すると、卵型のそれがブブブブと音をさせて震え始めた。 その動きがは、何も知らないギュンターにはただ震えているようにしか見えないが、使用方法と用途を知っているヤガーには卑猥に見えた。 そうそれは、【ピンクローター】 カアとヤガーの顔が赤くなる。 「ばっ馬鹿者、そんな物動かすな!」 「は?何だよ急に怒りやがって。自分が見てくれるって言ってたじゃねーか。で、これ何なんだよ?」 「そんな物なんて知らん!」 「ぜってー分かってるだろ、さっさと教えろよ!」 「あー、玩具だ!古代の玩具!」 大人のですけど(笑) 「適当に言ってんの丸分かりなんだよ。さっさと教えろ!」 「誰が言うか!半分は合ってるから良いではないか!」 「何だよ半分って!」 頑なに魔道具(笑)の正体を言おうとしないヤガーにギュンターも次第にヒートアップしてきた。 「この野郎!」 「うわ!?」 痺れを切らしたギュンターは椅子に座っていたヤガーの腕を掴むと、見事な一本背負いをきめた。 痩せた軽いヤガーの体が軽々と宙をまう。 次の瞬間、ヤガーはボフンと音を立てて天蓋つきのベッドの上に着陸していた。 眉をしかめるヤガーだが、一応ギュンターは手加減していたらしく衝撃は全くなかった。 仰向けに横たわったヤガーの上にギュンターが乗し掛かる。 「おーしーえーろー。」 「いーやーだー。」 暫く大人げ無い二人の取っ組み合いが続く。ここまで行くと、双方意地の張り合いだ。 ギュンターは手に持ったままだった魔道具(笑)をヤガーの目の前に突き付けた。 「だから、何なんだよこれは!」 「うわ!汚い止めろ!誰が使ったかも分からん性具なんて私に近付けるな!」 ヤガーが叫んだ言葉が部屋に響いた。 ピタリと止まる二人。 自分の失言に「迂闊迂闊迂闊」と無限に頭の中で呟くヤガー。 「マジで?これエッチの時に使う道具なのか!?」 案の定、ギュンターは興味津々で聞いてきた。 「おい!これどういう風に使うんだ?ブルブル震えているのにも意味あるのか?なぁヤガー。」 「知らん。自分で考えろ!」 「痛たたた!!」 顔を赤くしながらギュンターの髪を引っ張ってその下から出ようとするヤガー。しかし、日頃の軍事訓練で鍛えた体を魔法使いであるヤガーが退かせれる訳もなく、無駄に体力を消耗しただけだった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |