裏小説
三
「ふーん。」
しげしげと手に有るローターを見たギュンターは、ニヤリと猫のような印象の瞳を歪ませた。笑った口からギラリと犬歯が覗いた。
自分の下には都合の良い事に魔法使いが早くも体力を失ってグッタリとしていた。いつも青白い肌はうっすらと赤くなり、先程の格闘で乱れたワカメみたいな癖の強い黒髪が乱れて項が丸出しになっていた。
「じゃあいい。実際に試して使い方を見付ける。」
「は!?何を言うか馬鹿。」
急に漂う怪しい雰囲気に慌てるヤガーだが、その両手は騎士の片手で拘束され両足も押さえ付けられて身動きが出来なかった。
「やっ止めろ…。」
途端に体を強張らせるヤガーに優しく口づけを落として、ギュンターはその耳元に低い声を吹き込む。直接鼓膜を震わされる感覚に体が震えた。
「大丈夫だヤガー。俺が気持ち良くしてやるよ。」
そして今度は顎を掴まれて開かされ、深く口づけを落とされた。
熱い舌がヤガーの咥内を這う。おぞましいとも言える感覚と同時に愉悦がヤガーの体に染み渡る。舌は、ヤガーの歯茎や内の粘膜を擦って舐めると、奥で縮こまっていたヤガーの舌を捕らえて絡み取ってしまった。
「ん゛…む…。ん…。」
ギュンターが咥内を犯すと、次第に気持ちよさ気な声が塞がれたヤガーの口の喉の奥から出てきた。
吸い出した舌を緩く噛み、互いに擦り合わせてみると、押さえていた手がギュッと握り締められた。
この魔法使い、長年研究ばかりの日々で性交に関しては免疫がなく、非常に快楽や肌の触れ合いに弱い。
今も既に只のキスに切ない顔をして目に涙を浮かべている。先程まで強張っていた体は今はダラリと弛緩していた。
ヤガーの口を堪能したギュンターは口を離した。すると二人の間に透明な糸が引いた。
「お前、本当にキスに弱いな?」
「うる…さい。」
弱々しい声だが悪態をつくヤガーに苦笑が漏れるギュンター。この男は快楽に弱い癖に憎まれ口は相変わらず達者だ。
「あっそうそう。コレ試すんだった…。」
甘い空気の中、ギュンターが出したのはさっきのローター。ヤガーの表情が凍る。
「大丈夫だって、多分これ未使用だし手に入れた時に洗った。」
「そういう問題じゃないって、ムグっ!」
抵抗するヤガーに痺れを切らしたのか、ギュンターはローターを掴んだ二本の指ごとそれをヤガーの口の中に突っ込んだ。
「ぶっ…んぐ…。」
「んー?気持ち良くねーか?」
「どふぉが!」
異物を突っ込まれる不快感に抗議の声を上げる。
「あっそうか!忘れてた!」
思い出したような声をあげると、カチカチと下方で音がした。
「ん゛っ。」
ヤガーの口の中に有るローターがブブブブと細かく震え始めた。
先程ギュンターに弄られて敏感になった粘膜が小刻みに擦られる。舌で退けようとしても太い指が逃さずに押し付けてくる。
「…、悪くないみたいだな?」
潤んだ瞳で体をピクリと震わせて自分を見上げてくるヤガーを見て、ギュンターは舌なめずりをして指を抜いた。
「プァ…。」
湿った声がヤガーから漏れる。
その顔は赤らみ眉が下がり、開いた口からはドロドロと垂涎が首にまで垂れている。舌が痺れているのか、ギュンターが指で引くと抵抗もせずにダラリと舌を垂らした。
犬のように垂らした舌からは銀糸がツゥと垂れた。
ギュンターの指に挟まれているヤガーの垂涎に塗れたローターが震えている。それが淫猥に見えて恥ずかしくて、まるで楽しい玩具を見付けたようなギュンターの顔が恐ろしくて、唇をギュッと噛んで肩に顔を押し付けた。
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