初恋は実らないって本当ですか? さん 「なぁ、はる。いいこ紹介してやろうか?」 窓から顔をのぞかせながら隣の家に住む幼馴染の理一がそう声をかけてきた。 「そんなこと言っている暇があれば勉強でもしてろ。万年赤点野郎。」 「うわぁ。いつの間にそんな口悪くなったんだよはるちゃん。そんな子に育てた覚えはないわ!」 「五月蝿い。お前に育てられた覚えはない。でもそんな生活してたらいつかどっかで子供でも作ってきそうだけどな。下半身野郎。」 「さらに口悪くなってんじゃん!」 「そろそろ窓閉めるぞ。期末も近いんだしお前も少しは勉強しろよ。」 そう言って窓を閉め終わる瞬間、隙間から手が伸びてきて、驚きのあまりそのまま勢いよく窓を閉めてしまった。 「いってぇぇぇ!!」 理一の声が響く。 「わ、悪い、わざとじゃないんだ。」 「うわー、これじゃ右手使えないし、」 理一の右手を見ると、それはまあ見事に腫れていた。 「すまない!病院代は出すから!」 「いや、いいっていきなり手ェ出した俺も悪いし。」 「で、でも、」 「じゃあさ、て使えない間俺の右手になってよ。ちょうど勉強教えて貰おうと思ってたし。」 こうして、しばらく話していなかった幼馴染とまた一緒に過ごすことになってしまった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |