ランナとシルビア
「失礼します。」
ランナは指示のあった一室の扉を叩いた。
「どうぞ。」
中から優しい女性の声が聞こえる。
(ああ。あの人の部屋だ。)
ランナはミカミでの出来事を思いだし、恐怖に身を震わせた。

ガチャッ
扉を開けて中へはいると、
そこは白を基調にした、清潔な部屋だった。
ベッドがいくつかあり、常人にはわからないであろう医療機がいくつかある。
カストレ城の保健室だ。
いや、病院といった方がよいだろうか。

「こんにちは。
ランナくん来てくれたのね。」
そこでたくさんの紙が散らかった机に向かっている女性が声を上げた。
「こんにちは。
つばきさん。」
茶髪の女性はこちらを向くとにっこり微笑んだ。ヒロのお姉さんだ。
「シルビアって呼んでほしいわ。」
ランナは先ほどから感じていた違和感の招待に気がついた。
彼女の瞳は以前は青と紫のオッドアイであったはずだ。しかしいまは両目が紫の瞳である。

「シルビアさん。
僕に何を教えてくださるんですか?」
ランナは見てわかるほど警戒しながら尋ねた。
シルビアはランナの目の前の椅子を勧める。
ランナは静かに座った。
「君は無理して強くなる必要はないわ。
あなたは医者だから。
あなたに必要なものは生存力よ。
戦場で最後まで生き残る力……。」
ランナは小さくうなずいた。
そのとおりである。
戦場で医者が死ねば、誰が治療するのか。

「はい。」
ランナの目を見てシルビアの口元だけ笑った。目は真面目な顔である。
「いまからクレスタを呼ぶわ。
あなたと戦うの。
とにかく逃げて。」
クレスタとは騎士団10番である。

クレスタはさまざまな武器を使うから……
というチョイスであろう。

ランナは力強く頷いた。
(僕は……守られたくないんだ。)

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