互いのために

サギリは指定された場所へ向かおうと城の階段を上がっていた。
ここは6階。
たしかここは城の屋上へ続く道だ。

朝食のあと、ウェルテスに声をかけられた。
特訓は外でやる。
とのことである。

サギリはうっすら光が漏れている扉を押した。

「やっほー!おつかれさま。」
眩しい光の先にすっとたっているのは、ウェルテスだ。
前会ったときと少し違う。
この光のなかでも気がつくくらい目が橙色にひかっているのと、ブーツだ。

(あれは心刀か?)
ブーツは青白く輝いている。
「ああ。これは心刀だよ。」
ウェルテスは困ったように笑った。

「サギリさん。
俺が、あなたと戦ってみたいと思ったのはね、きのう夕飯の前にエージェントに頼んだからなんだ。
俺とあなたは真反対の人間だから。」

「わたしのタイプの弱点を知って、
お互い強くなるってことよね?」
ウェルテスはにっこり微笑んでうなずいた。
「俺はあなたに教えられるほど完璧じゃないんです。
自分の能力もうまく使えていないし、
自分のマックスの力もよくわかっていない。」
ウェルテスは膝上のロングブーツを眺めた。
相変わらず青く美しい氷のように輝いている。

「私で相手になるのかわからないが、精一杯やらせてもらおう。」
サギリはヴァンクールにもらった美しい装飾の湾曲したナイフを構えた。


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あきゅろす。
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