6階〜管理室〜

ガチャッ

アシェルを先頭に裏口の扉を慎重にくぐる。

「失礼しまーす。」
運のよいことに周りには誰もいないようだ。

ガチャッ。
キセキがゆっくりと扉を閉める。

「ここからまず6階の管理室に向かう。
そこで監視カメラを見てる人から服を奪うぞ。」
キセキは一度ファルクスカンパニーへ能力を使って侵入したことがある。
そこで得た知識を存分に使うことができる。


アシェルとキセキは裏口に程遠くない非常階段へと走った。

「この階段で移動する。
エレベーター止められたら終わりだからな。」
キセキは2段ぬかしで軽快に階段を上がっていく。
アシェルもそれについていった。

「ここだ。」
アシェルが扉の下に書いてある"6"という数字を指さした。

キセキがゆっくりとドアノブに手をかけてひねると、
ガチャッと扉が開いた。

キセキはキョロキョロしながらゆっくりと6階に侵入した。

「いいぞ。」
キセキが壁に隠れながら、後ろにいるアシェルに手で合図する。
アシェルもキセキの方へ腰を低くして走った。

周りにある扉をすべて無視して2人は長い廊下を疾走する。
『ちゃんとキセキは覚えてるんだね。』
フレイルが小さく笑った。

次の曲がり角でキセキはアシェルに"待った"のサインを出した。
きっと誰かいるのだろう。

そしてキセキはその手のひらを開いた"待った"のサインを2にした。
(2人…)
「遠いのか…?」
アシェルが尋ねると、キセキはうなずいた。

「どうせ管理室の奴らは叩くから、突っ込むか?
通信機を使う前に倒すんだ」
キセキはにっこり笑う。
「ってか、こんなにモタモタしてていいのか?」
アシェルが小さい声で尋ねると
「この廊下はカメラがない。んじゃ、行くか…」

アシェルは正直驚いた。
こんないい加減な男の意外な特技に…
「アシェル?」
「いや…、行こう。」

2人はほぼ同時に廊下の角を飛び出した。

「アシェル!2人をたのむ!」
キセキは真っ先にすごいスピードで管理室の扉へ走った。
アシェルはキセキを通りすぎて、2人の警備員へ走る。

「だ、誰だ!」
片方の警備員は腰から拳銃を抜き取り、もう片方の警備員が胸元の通信機に手を伸ばした。

「させるかよ!」
アシェルは心刀フレイルを出すなり、いきなり勢いよく投げた。

通信機をつかんだ警備員はいきなり投げられた凶器に驚き、間一髪しゃがんでよけた。
もう一人の警備員はその様子を驚いた顔で見ている。

アシェルはそのまま突っ込み、手前にいた拳銃を持った警備員の腹に右ストレートのパンチをぶちこみ、しゃがんだままの警備員の額に頭突きをかました。

どちらの警備員も後方に大きく吹き飛んだ。

アシェルは自分の額をさすりながら、2人の警備員を見る。
(気絶…、してるな。)
とため息をつくなり、廊下の最奥の壁に見事に刺さっている心刀フレイルを抜き取った。
『むちゃくちゃだね。』
(すまんな。)

キセキはというと、アシェルが戦っている一瞬の間に鍵を開けることに成功した。

キセキはアシェルがこちらに向かってきているのを確認してから、管理室の扉を開いた。

パンッ
開いてキセキが入った瞬間にアシェルには銃声が聞こえた。
中の管理人が撃ったのだろう。

「キセキ!」
アシェルは声を張り上げて管理室へと飛び込むと、

「大丈夫だ。」
倒れているのは管理人らしい人物であり、キセキではなかった。

キセキは扉に背を向けて、さまざまなモニターの繋がっている機械をすでにさわっている。
「じゃあ監視カメラの電源落としまーす。」
キセキは目の前の大きな機械の端についている赤いボタンを押した。


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