胡坐をかいて雑誌を読んでいる俺の腕の中に、名前が居る。 相当眠たそうで、瞼が何度も下りたり上がったりしている。今にも雑誌に顔を突っ込みそうだった。 「おい、名前ー。眠いならむこうで寝ろよー。」 「…うー…。」 一応言っては見たものの、一言唸り声が返ってくるだけで起き上がる様子は無い。 仕方なくゆすってみる。 「ほら、名前。起きろよ。」 「…やだー!」 「おわっ!」 ぱっと目を開き起きたかと思えば、俺の方へ向き直り腰に抱きついてきた。首根っこを引っ張ってみるが、離れない。 …たしかこういう屋台に出てるおもちゃ、あったよな。 「おいおい、勘弁してくれよ。そのまま寝られたらトイレも行けねえじゃねえか。」 「…やなの…。」 愚図りだしたかと思うと、寝息が聞こえてくる。ついに睡魔に負けたか。 「…おーい、起きろよ。」 反応なし。 「お前が楽しみにとっておいたプリン、食っちまうぞ。」 これも反応なし。 「…おいこら、しまいにゃ襲うぞ。」 これを言うのはちょっと躊躇した。 が、これまた反応なし。 こちとら腕の中に来られてから理性とずっと格闘してたっていうのに、暢気なやつだ、全く。 もう我慢なんかしてやらないからな、と目前に剥き出しの白い首筋に吸い付く。 「…っ」 これには流石に反応したが、小さく身じろぎをしただけで起きる様子は無い。 それに気をよくした俺は何度も首筋に吸い付き、赤い鬱血を残していく。 すぐ耳元で、安らかな眠りを妨害されたことに反抗するようなうめき声が聞こえた。 …こんなにも気持ちよく眠っているのに起こすのは忍びない、と俺の心に僅かな罪悪感が生まれた。 仕方ない。続きは明日にとっておくか。 もう一度、今度は額にキスをして名前を抱え上げ寝室へ向かった。 きみの夢のはじまりに わたしのキスを送ろう ------- なんだかすらすら書ける!不思議!! 20100115 のあ初季 [←][→] |