学パロ
静かに、とすぐ頭上で声がする。
日陰で湿った冷たい壁の感覚が、背中にじんわりと伝わってきた。
天草君の胸板に鼻が当たって少し痛い。少しして、むこうのほうを先生の怒鳴り声が通り過ぎた。
壁と天草君にぎっちりと挟まれてしまって身動きできない私は、先生がいったかどうか確認できない。
どれくらいそうしただろうか。
何度か先生の声が近づき遠ざかる繰り返しが終わったあと、天草君が少しだけそっと離れた。
「もう大丈夫ですぜ。」
「…あ、ありがとう、天草君。」
にっこりと笑う天草君を直視出来なくて、俯いてしまう。
そんな私を天草君は気にする様子はない。
「それにしても、ベアト先生かんかんでしたねェ。何やらかしたんですかい?」
「えっ、と…年齢のことに触れたら突然すごい怒り出して…」
そりゃまずいや、と天草君がけらけら笑う。うう、笑い事じゃないのに。
「と、とにかくありがとう。もう大丈夫だから、離して?」
離れたとはいえ、私の顔のすぐ横に天草君が手をついていて、顔もとても近い。
無理やり振り切って逃げることも出来るけど、仮にも助けてくれた相手にそれは失礼過ぎる。
「あー…。」
うーん、と唸り何故か天草君は頷いてくれずに頬を掻いた。
その様子を私は首をかしげて見つめる。
「とりあえず俺に惚れるまでこのままで」
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クサい
20100118 のあ初季
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