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「あっ、会長。」


その背中に、なぜか呼び止めるような言葉を吐いてしまい、一瞬後悔。

だが、あの会長が俺の言葉で自分の意思を変えるはずがないと瞬時に思い直し、そのまま、ドアの方へ足を進める彼の背中を見送ろうとして。



「え。」



会長がとまった。



「会長......?」


こちらが呼び止めておきながら、会長が止まってくれたことに驚く。


いったい、どうしたんだろう。


これはもう、彼の体調不良を疑うレベルだ。



と。

会長の睨みから既に回復していたのか、ソファーに腰掛けた冬至は、険しい表情を浮かべ、会長を睨み付ける。

その手には、会長の飲みかけのコーヒー。


「おい、貴様。人に出してもらったものをこんなに残すとは何事だ。ここを出ていくんなら、全部胃のなかに納めていけ。もったいないだろう。」


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