3 と、それから少し。 いくら待っても、罵声のひとつもとんでこない。 「............。」 いい加減、不審に思い、ちろりと目だけで会長の姿を確認してみれば、なぜか会長は普段から鋭い目付きをもっと鋭くさせ、一身に冬至のいる方向を睨んでいた。 え、あれ。 これ、どういう状況だろう。 流石の冬至もその剣幕に圧され気味なのか、生徒たちの間で冷静沈着と呼び声高い彼から、珍しく戸惑いの感情が伝わってきた。 「あ、あの。......会長?」 たまらず顔を上げ、目の前の彼に声をかける。 だが、彼は俺の声が聞こえていないのか、いまだ伺えるのは、その美形といわれる横顔だけ。 「会長。」 もう一度、会長に声をかけながらその視線を目で追ってみれば、やはりというかなんというか。やはり、冬至に行き着いた。 「冬至。」 この状況を、どうするのか。 そんな意味をこめて、呼んだ彼の名に、なぜか会長が反応した。 その鋭い刃物のような目を引っ込め、ソファーから腰を上げる。 俺が手渡した書類を、そのまま器用に丸めると、冬至にもう一睨みお見舞いし、風紀室を出ていこうとする。 [*前へ][次へ#] [戻る] |