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「なっ、」




驚くひまもなく、離れていく会長の綺麗な顔をみる。

きっと、酷く間抜けな顔をしているであろう意識はあるけれど、それを直すだけの時間は今の俺にはなく。


「か、会長! なにしてるのっ。き、きすとか! 2回目だしっ。」

「うるせぇ。てめぇが嘘つくのがわりぃ。」

「う、うそなんて!」

「言った。お前は嘘ついた。」


そう、嫌に丁寧に教えてくれる会長に、軽く目を見開く。はっ、と小さく息を吐いてそっぽを向いた会長に、あぁその通りだな、と素直に思う。


会長が太陽くんに会いに行って、平気なわけない。太陽くんは、会長のことが好きなんだ。それだけで気になるのに。

心が狭いってことは分かってるけど、嫌なんだ。ただ、それだけで。


会長が、好きなのはこいつだ、と。そう言ってくれた時、すごく嬉しくて愛しさがこみ上げた。

それと同時に感じたのは、少しの。それでも確かな優越感で。

会長は、太陽くんじゃなくて俺を選んでくれた。


そう思ったら、確かにすごく嬉しくて。





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