10 「会長、......ごめん。俺、嫌なやつなんだ。会長が太陽くんじゃなくて俺を選んでくれたとき嬉しかった。でもっ、俺は」 偉そうに太陽くんを可哀想だと思ったことは本当だけど、でもそれ以上に。 「会長に、嫌な俺を見てほしくなかった。」 あの時、太陽くんに優越感を覚えた俺を。 「こんな、俺を」 「桜庭。」 呼ばれた名前に、自然と下がっていた視線をあげる。 今の俺は、きっと情けない顔をしているに違いない。 だって会長も、見たことないくらいへにょへにょの顔をしているから。 「桜庭。俺は、......正直言うとあいつのことなんてどうでもいい。あいつがこの学園にいる限り、生徒会長としてあいつと関わる。それは他の生徒にも言えることだ。でも、」 会長の手が、湿布のはっていない方の頬に触れる。 [*前へ][次へ#] [戻る] |