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「かい、ちょう?」
今、会長はなんて言ったんだ。
俺のことが好きだって、そう言ったのか?
「会長、」
口はちゃんと動いてて、きょろきょろ辺りを伺う俺と同じ動作に、きちんと会長の言葉だとわかる。
耳はいまだ赤くて。
きっと俺だって真っ赤で。
だけど、でも。会長は。会長には。
「無理しなくていいよ。俺が好きって言ったからって、会長まで」
「は......? なにいってんだ。」
「なにいってんだ、って。」
全く分からないという顔をしてこちらに視線を戻した会長に、もう俺の方が分からない。
なにいってんだ、は会長でしょ。
戸惑いよりも。疑問よりも。悲しみよりも。
何よりも先に湧いてきたのは、久しく感じていなかった、純粋な怒り。
「会長こそなにいってんの。俺が好きとか意味わかんない。会長が好きなのは、あの転校生でしょ。それなのに、俺が好きとかいみ」
「てめぇ、もう一回言え。俺が誰を好きだって?」
「だから転校生がっ」
刹那。
感じたことがあるような圧迫感。視界の端に映るネクタイに、またネクタイを掴まれたのだとわかる。
引き寄せられる身体に、反射的に目を瞑った。
と。
「ぇ。」
唇に何かが噛みついた。
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