6
「桜庭。」
その時、ふと。
冬至の向こうから会長の声が聞こえた。
無駄に背の高い冬至のせいで、その姿は見えなくて。
「悪かった。俺のせいで......、頬っぺたも」
「ちょっ、会長!」
「もう生徒会室には来んな。お前がいたってなんも変わんねぇし。」
「ぇ、なに」
「役にたたねぇって言ってんだ。そんぐらい分かれ。」
「ぁ、」
足音が、聞こえた。
俺から遠ざかる足音が。
「かいちょ、」
動かないと。動いて会長を追いかけないと。
会長のせいじゃないのに。俺がいけなかったのに。
ガラガラ、と開くドアの音。
それを聞きながらそう思うのに。
身体は全然動かなくて。
ーー拒絶された。
ただただ冬至の背中をみて、向こう側は見えなくて。
どうすることもできなくて。カッコ悪い。
俺、会長に何かできたんだろうか。何もわからなくて。
身体は動かない。
その背中に拳をぶつけた。
いたい。
くそ、筋肉ありすぎだ。
[*前へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!