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「桜庭。」



その時、ふと。

冬至の向こうから会長の声が聞こえた。

無駄に背の高い冬至のせいで、その姿は見えなくて。



「悪かった。俺のせいで......、頬っぺたも」

「ちょっ、会長!」

「もう生徒会室には来んな。お前がいたってなんも変わんねぇし。」

「ぇ、なに」

「役にたたねぇって言ってんだ。そんぐらい分かれ。」

「ぁ、」



足音が、聞こえた。

俺から遠ざかる足音が。



「かいちょ、」



動かないと。動いて会長を追いかけないと。
会長のせいじゃないのに。俺がいけなかったのに。



ガラガラ、と開くドアの音。



それを聞きながらそう思うのに。

身体は全然動かなくて。




ーー拒絶された。




ただただ冬至の背中をみて、向こう側は見えなくて。

どうすることもできなくて。カッコ悪い。

俺、会長に何かできたんだろうか。何もわからなくて。



身体は動かない。



その背中に拳をぶつけた。





いたい。

くそ、筋肉ありすぎだ。






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