もうちょっとメイクビリーブ
2222222222
「中谷、すげぇじゃん!」
「さすがです!チカラさん!」
開いた紙を改めてじっと見つめた。
持ってるか持ってないか、で言うと持ってない部類の俺がめったにない(らしい)大凶を引くなんて...
「いい夢見られるといいなぁ」
黒坂先輩の言葉に思わず頬が緩む。
神社を出て解散し、いつも通り東郷先輩と帰る途中、「先輩は何でしたか?」と聞いてみた。
「......大吉」
「えっ!すごい!でも今回に限っては残念でしたね!俺の方が大吉です」
少し胸を張って言うと東郷先輩は呆れたような顔で「お前が嬉しいならいいけどよ...」と呟く。相変わらず興味は無いみたいだ。
「東郷先輩は未来見てみたくないんですか?」
「自分のだろ?いつか見るものを、なんで今見る必要があるんだよ」
......東郷先輩はこういう時、割と正論を言う。単純に好奇心とかが無いんだろうけど...
「どんな職業に就いてるかとか、気にならないですか?」
「別に」
「まぁ東郷先輩、将来の事とか考えてなさそうですもんね…」
「……お前は、なんでそこまで気になるんだ?未来なんてもん」
それは……できれば俺の口から言わせないでほしい。そうでなくてもいつも、身に染みてわかってるのに。
「だって俺は……先輩方や夏樹みたいに綺麗な顔もしてないし頭も良くないし、特技とか取り柄とかないし…」
ちゃんとした人生歩めてるか不安なんです。と言うと東郷先輩は興味なさげに「そうか?」とだけ答えた。
「それより中谷、明日土曜だし......うち、来るだろ?」
「え〜......そういう気持ちじゃないような...」
「その理由、次は言わねぇって言ったよな」
東郷先輩が鬼の形相で俺を睨む。
そうだ、連続5回くらいこの理由で断ってるんだった…
「わかりましたよ、行きますよ…」
東郷先輩みたいな人は、将来どんな人生を歩むんだろう。なんだかんだ美人の奥さんを手に入れて、不自由ない暮らしをするんだろうな…
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!