もうちょっとメイクビリーブ
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「......に......中谷っ!!」
「えっ?」
気がつくと俺は駅前の商店街に立っていた。
あれ、いつの間に?ていうかさっきまで何してたっけ?とか考えてる間に、同じくいつの間に持っていた携帯から東郷先輩の声。
「中谷、今どこにいるんだよ?」
聞かれたら答えてしまう悲しい性。近くにある店の名前を伝えると電話が切れた。
「あれ?」
ここ、CDショップじゃなかったっけ?いつの間に服屋になってる。でもそれ以外は確かにあの商店街だ。
よく見ると自分の着ている服も見覚えがない。携帯も微妙に機種が違う。そこまで考えたところでようやくハッとした。
未来神社────
いやいやまさか。だって夢にしてはいやに意識がハッキリしてるし。きっとボーッとしてただけだ。
でも確かに、東郷先輩の家に行って寝ちゃったとこまでは覚えてる…
「中谷!」
呼ばれるがまま振り向く。そこには確かに東郷先輩がいたんだけど...
「と、東郷先輩!?」
「駅前で待ってろって言ったろ?」
「いや、それより、髪が!」
東郷先輩は「は?」と訝しげな顔。
いやでも、先輩の髪が、金色じゃない。いつもの綺麗な金色じゃなくて明るい茶髪になってる。髪型も違う。相変わらず、似合ってるけど...
「髪色、変えたんですか?」
「......どんな言い訳だよ?それ」
「背も高いような...」
何かおかしい。
潰れた本屋。進化してる携帯電話。微妙に違う先輩の姿。もしかして、本当に────
「と、東郷先輩」
「どうした?」
「今日は、何年の何月何日ですか?」
顔から火が出るくらい今どきコントでも聞かないような王道のセリフに、東郷先輩は少しも笑うことなく答えた。
「20XX年の......9月28日だろ?」
頭がクラクラする。
この世界で不思議な事が起こる割合は、思ってたより高い。
「東郷先輩...」
「なんだよ?」
「ご、5年後の未来……来れちゃいました」
東郷先輩は返事もせず俺の顔を見つめるだけ。まぁ、そりゃそうだよなぁ。
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