ラブスクイズ
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「かんぱーいっ」
野郎ばっかで飲んで何が楽しいわけ?コイツら。
まぁ俺に言われたくないとは思うけど…
結局、土曜日の今日は二学年合同の同窓会になり、居酒屋に野球部の元部員20人くらいが集まった。
結城さんはというと、先輩やら俺の同級生やらに囲まれて楽しそうに喋ってる。
最低。あんなの浮気だ。
斜め後ろから睨んでいると、先輩の一人と目が合った。結城さんがキャプテンだった時、副キャプテンだった川崎さんだ。
正直結城さん以外の先輩の記憶はおぼろげだけど、副キャプテンくらいはちゃんと覚えてる。
「二条!久しぶりじゃん」
「お久しぶりです」
川崎先輩は結城さんと仲良かったから、一応笑顔で挨拶しといた。すると川崎先輩が結城さんに声をかける。
「結城、二条と会うの久々じゃないか?」
結城さんはこっちを見て戸惑いの視線を向けたかと思うと、川崎先輩に答える。
「そうだな。卒業式以来かな…」
結城さんの返事に愕然とした。
……何、嘘ついてるの?
「二条は結城大好きだったのになー」
川崎先輩にそう言われて答える前に、結城さんが何故か「そんなことないよ」って否定した。
なんでそんな、他人行儀な目で…
「結城さんの…」
「二条?」
「……なんでもありませんっ」
喚くのはさすがにやめてあげたけど、冷静でいられなかった。
なんでそんなに俺と付き合ってることを秘密にしたいの?そんなに俺を好きなことは隠したいの?
そんなに…
「二条、どうした?」
自分の座ってた場所に戻って、置いてた携帯をひっつかんだ。何人かの同級生が不思議そうに俺を見る。
「俺、帰るから後よろしく」
「えっ?なんで?」
「……知らないよっ」
「知らねぇのかよー」
そのまま、他の大勢には知られないようにひっそりとその場を後にした。
店を出る前に遠目で結城さんを探すと、俺がいなくなってることも気付かず楽しそうに呑んでる。
なんだか悔しくて、涙が出そうになった。
******
駅までの夜道をトボトボと歩く。
結城さん、楽しそうだったな…
俺が結城さんを大好きなことは法律で決まってるんじゃないか?ってくらい当たり前なのに、結城さんは全然わかってない。
もっと求めていいのに。もっと奪っていいのに。もっと、あの三年前の夜みたいに…
返ってこないボールを何球も何球も何球も投げ続けてるみたいだ。
そりゃ、俺は男だし結城さんみたいにかっこよくないけど…
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