隣の芝生は青いンデスペシャル
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数十分後、本当に2人はうちまで来てくれた。
神楽さんは高階さんに言われたのか、今日も女の子の服を着てる。
「じゃーん!チカちゃんが素直になれる魔法のアイテム持ってきました!」
俺の部屋に入ると神楽さんが持っていた紙袋を掲げた。
魔法のアイテムってなんだ?
「中、出してみてーっ」
「あ、はい」
中身を取り出すと、なぜかセーラー服が入っていた。
誰かのだったら恥ずかしくて触れもしないけど、見たところ新品っぽい。
「……出しました」
「魔法のアイテムです!チカちゃんに似合うと思う!」
「……えっ!?俺が着るんですか?」
神楽さんは大きく頷く。人の趣味を押しつけられた…
すると高階さんがもっともらしく語った。
「チカちゃん、女装っていうのは本当に恥ずかしいことだ。俺は今でもコイツのこと頭おかしいんじゃねぇかって思ってる」
「そうなの?高階!」
「でもこんな恥ずかしい服を着たら、どんなに恥ずかしい思いだって伝えられるんだぜ」
「……はぁ」
全然意味がわからないんですけど…
絶対イヤだ、と思っていたら2人は急に俺の体を押さえつけてきた。
「とりあえず着てみて!絶対似合うからーっ!」
「ちょっ……待ってください!着ます!着ますから!」
なんとか脱がされるのは防いで、自分でセーラー服を着た。この2人頭おかしい…
「やっぱり似合う!可愛いッス!」
「うん。良いんじゃねぇの?」
女顔の神楽さんならまだしも、俺なんかが着ても気持ち悪いだけだろ!
それに「スカートってこんなにスースーするのか」っていう驚きに耐えられない。
すると2人が俺の電話を差し出して東郷先輩を呼ぶよう促した。
「いや、こんな姿見せられません…」
「大丈夫だって。女装プレイは案外楽しい。俺が保証する」
「うきゃー!なんでそういう話になるの!」
「とにかく呼べって」
なんか呼ぶまで帰ってもらえなさそうだ…
電話はさすがに気まずかったので、東郷先輩に「うちに来てください」ってメールした。
「よし、じゃあ俺らは帰るから。頑張って仲直りしろよ」
「チカちゃん、俺たちのせいにしていいんだからね!」
「あ……ありがとうございます」
あぁ、やってることは意味わかんないけど、やっぱり心配してくれてたんだ。嬉しい…
何度も激励の言葉をくれて、2人は帰っていった。
今からでもセーラー服は脱いだ方がいいかな?
いや、いいや。高階さんの『恥ずかしい服を着たら、どんなに恥ずかしい思いだって伝えられる』を信じよう…
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