隣の芝生は青いンデスペシャル ☆☆☆☆ 数十分後、本当に2人はうちまで来てくれた。 神楽さんは高階さんに言われたのか、今日も女の子の服を着てる。 「じゃーん!チカちゃんが素直になれる魔法のアイテム持ってきました!」 俺の部屋に入ると神楽さんが持っていた紙袋を掲げた。 魔法のアイテムってなんだ? 「中、出してみてーっ」 「あ、はい」 中身を取り出すと、なぜかセーラー服が入っていた。 誰かのだったら恥ずかしくて触れもしないけど、見たところ新品っぽい。 「……出しました」 「魔法のアイテムです!チカちゃんに似合うと思う!」 「……えっ!?俺が着るんですか?」 神楽さんは大きく頷く。人の趣味を押しつけられた… すると高階さんがもっともらしく語った。 「チカちゃん、女装っていうのは本当に恥ずかしいことだ。俺は今でもコイツのこと頭おかしいんじゃねぇかって思ってる」 「そうなの?高階!」 「でもこんな恥ずかしい服を着たら、どんなに恥ずかしい思いだって伝えられるんだぜ」 「……はぁ」 全然意味がわからないんですけど… 絶対イヤだ、と思っていたら2人は急に俺の体を押さえつけてきた。 「とりあえず着てみて!絶対似合うからーっ!」 「ちょっ……待ってください!着ます!着ますから!」 なんとか脱がされるのは防いで、自分でセーラー服を着た。この2人頭おかしい… 「やっぱり似合う!可愛いッス!」 「うん。良いんじゃねぇの?」 女顔の神楽さんならまだしも、俺なんかが着ても気持ち悪いだけだろ! それに「スカートってこんなにスースーするのか」っていう驚きに耐えられない。 すると2人が俺の電話を差し出して東郷先輩を呼ぶよう促した。 「いや、こんな姿見せられません…」 「大丈夫だって。女装プレイは案外楽しい。俺が保証する」 「うきゃー!なんでそういう話になるの!」 「とにかく呼べって」 なんか呼ぶまで帰ってもらえなさそうだ… 電話はさすがに気まずかったので、東郷先輩に「うちに来てください」ってメールした。 「よし、じゃあ俺らは帰るから。頑張って仲直りしろよ」 「チカちゃん、俺たちのせいにしていいんだからね!」 「あ……ありがとうございます」 あぁ、やってることは意味わかんないけど、やっぱり心配してくれてたんだ。嬉しい… 何度も激励の言葉をくれて、2人は帰っていった。 今からでもセーラー服は脱いだ方がいいかな? いや、いいや。高階さんの『恥ずかしい服を着たら、どんなに恥ずかしい思いだって伝えられる』を信じよう… [*前へ][次へ#] [戻る] |