隣の芝生は青いンデスペシャル
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---Chikara side---
後ろから急に携帯を取り上げられた時、俺は怖くて後ろを向けなかった。
「……中谷、昨日は誰と何してたんだよ?」
どうやら最初から聞こえてたらしい。もっと遠くに避難してから出れば良かったな…
「あの……紅葉とサッカーしてて、近くの高校の人と知り合いになって…」
「男?」
小さく頷く。
東郷先輩に黙って合コン行った時と同じ展開になってしまった。
「でもあの、浮気とかじゃないんですよ?恋人連れで来てたし、今の電話は恋人さんの方で…」
「関係ねぇよ」
東郷先輩はやっぱりめちゃめちゃ怒ってる。
でも、浮気じゃないって言ってるのに…
「中谷……なんで俺がいるのにそういうことすんだよ?監禁してほしいのか?」
「ち、違います!別に友達を作るくらい良いじゃないですか!」
「良いわけねぇだろ」
なんでそんな当たり前に言うんだろう?
そうやって俺を困らせて、何が楽しいんだ…
「中谷、これからは…」
「う……うるさいなぁ!俺は……もっと優しい人が良かった!」
東郷先輩が動揺してる隙に携帯を奪い返して、そのまま先輩の家を飛び出した。
いつもだったら追ってくるのに、後ろに東郷先輩の姿はない。
結構ひどいこと言っちゃったかな。でも、昨日の2人を思い出したら悲しくなって…
いやそんなことより神楽さんにかけなおさないと!
『もしもしチカちゃん!?大丈夫?』
「はい。すみませんさっきは…」
『彼氏さんご乱心おこした?仲直りした?』
「いや……もういいんです。別に」
電話の向こうの神楽さんは卒倒したのか?ってくらいショックを受けていた。
神楽さんのせいじゃないんだけどな…
『もしもしチカちゃん?彼氏とケンカしたって?』
電話の相手が高階さんに換わった。
「はぁ……でもいいんです。電話くらいで怒られる筋合いないし」
『そんなこと言いつつ謝りたいんだろー?』
「え?」
確かに言いすぎたとは思うけど……高階さんなんでわかるんだろう。
『よし、俺たちが協力してやろう。こうなったのは神楽のせいだからな』
……いやいや、話がつかめない。
と思ったらまた、神楽さんの声。
『いいねぇ!そうしよう!チカちゃんの家どこ?何駅?』
「いや、別にいいですよそんな…」
『大丈夫!俺たちに任せて!』
全然大丈夫じゃないんですけど…
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