隣の芝生は青いンデスペシャル ☆☆☆☆ ---Chikara side--- 後ろから急に携帯を取り上げられた時、俺は怖くて後ろを向けなかった。 「……中谷、昨日は誰と何してたんだよ?」 どうやら最初から聞こえてたらしい。もっと遠くに避難してから出れば良かったな… 「あの……紅葉とサッカーしてて、近くの高校の人と知り合いになって…」 「男?」 小さく頷く。 東郷先輩に黙って合コン行った時と同じ展開になってしまった。 「でもあの、浮気とかじゃないんですよ?恋人連れで来てたし、今の電話は恋人さんの方で…」 「関係ねぇよ」 東郷先輩はやっぱりめちゃめちゃ怒ってる。 でも、浮気じゃないって言ってるのに… 「中谷……なんで俺がいるのにそういうことすんだよ?監禁してほしいのか?」 「ち、違います!別に友達を作るくらい良いじゃないですか!」 「良いわけねぇだろ」 なんでそんな当たり前に言うんだろう? そうやって俺を困らせて、何が楽しいんだ… 「中谷、これからは…」 「う……うるさいなぁ!俺は……もっと優しい人が良かった!」 東郷先輩が動揺してる隙に携帯を奪い返して、そのまま先輩の家を飛び出した。 いつもだったら追ってくるのに、後ろに東郷先輩の姿はない。 結構ひどいこと言っちゃったかな。でも、昨日の2人を思い出したら悲しくなって… いやそんなことより神楽さんにかけなおさないと! 『もしもしチカちゃん!?大丈夫?』 「はい。すみませんさっきは…」 『彼氏さんご乱心おこした?仲直りした?』 「いや……もういいんです。別に」 電話の向こうの神楽さんは卒倒したのか?ってくらいショックを受けていた。 神楽さんのせいじゃないんだけどな… 『もしもしチカちゃん?彼氏とケンカしたって?』 電話の相手が高階さんに換わった。 「はぁ……でもいいんです。電話くらいで怒られる筋合いないし」 『そんなこと言いつつ謝りたいんだろー?』 「え?」 確かに言いすぎたとは思うけど……高階さんなんでわかるんだろう。 『よし、俺たちが協力してやろう。こうなったのは神楽のせいだからな』 ……いやいや、話がつかめない。 と思ったらまた、神楽さんの声。 『いいねぇ!そうしよう!チカちゃんの家どこ?何駅?』 「いや、別にいいですよそんな…」 『大丈夫!俺たちに任せて!』 全然大丈夫じゃないんですけど… [*前へ][次へ#] [戻る] |