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Star Struxxx.
チヒロ。
タイプかどうかとかじゃない。
赤坂さんはとにかく煌めいて見えた。

ある日のバイト中。玲さんが友達と呑みに来てるのを見て、俺は急いで先輩の女の人に駆け寄った。

『あっ……あれ、玲さんの友達ですか?』

『大学の友達らしいよ?パーカー着てる方、結構かっこいいよね!!』

『えっ、もう一人の方がかっこよくないですか?』

冗談めいて言ったけど、本気でかっこいいと思った。
その人は穏やかな物腰で、玲さんともう一人の友達の言い合いをずっと黙って見守っていたのが印象的だった。

数日後、その人が一人で呑みに来たのを見つけて、思わず声をかけてしまった。

『あの……玲さんの、お友達ですよね?』

赤坂さんは初対面の俺の言葉に、優しく笑って応えてくれた。

『あ、そうだよ。今日は玲いないんだ』

『はい……な、なんか持ってきましょうか?』

赤坂さんはものすごくお酒が強くて、焼酎だろうが日本酒だろうがロックで水みたいに飲む。
注文を届ける時に聞いたら、お酒は唯一の趣味らしい。

『まぁ飯食うのも好きだけどね、最近は』

『じゃ……じゃあ、今度一緒にご飯でも行きませんか!?』

赤坂さんは目を丸くして俺を見た。
あぁ、失敗したよ…

『……別にいいけど?』

『えっ!?』

『お酒は?呑む方?』

『いえ……俺、高校生なんで』

『うわ、マジかよ。まぁいいけど』

赤坂さんはその場でメアドを教えてくれた。
数日後、本当にそのお食事会は実現することになって、俺は緊張と嬉しさで心臓が爆発しそうだった。

そして、その場で。

『あの……俺、実は赤坂さんのことがずっと気になってて…』

告白めいたことを言ってしまった。
赤坂さんはその日もお酒をジャンジャン呑んでたけど、顔色はいたって普通だったのを覚えている。

『……それは何、俺と付き合いたいってこと?』

『え、そんな今は恐れ多いですけど、でもいつかはそんな感じで……もちろん赤坂さんの気持ち次第なんですけど…』

わけのわからないことを言っていると赤坂さんはちょっと困ったように笑って、下を向いてしまった。

『あ、あの……すみません…』

『……別に、いいよ?付き合う?』

『え…』

『まぁあんまりアレしてコレして言われると嫌だけど』

赤坂さんはそれだけ言うとまたお酒を呑んで料理を食べ始めた。
あまりに感動的で、あまりにアッサリしすぎていた。
俺たちの始まりは。

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あきゅろす。
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