Star Struxxx. レイ。 あまりに知尋がミスばかりおかすから、休憩時間を知尋と合わせて話を聞くことにした。 俺が聞いてなんとかなるとも思えねぇけど… 休憩室に入ると俺たちは自販機でお茶を買って、向かい合わせに座った。 「なんかあったのか?知尋」 「……実は、昨日すごくショックなことがあって…」 「あぁ……もしかして、失恋でもしたか?」 知尋の顔を見ると、どうやら図星らしい。失恋のショックでこんな風になるなんて、純粋な知尋らしいかもしれない。 「お前彼女いたんだ……同じ高校の子か?」 「……玲さん、よく大学のお友達をうちの居酒屋に連れてきて呑んでますよね…」 話変えんのかよ!? と思ったけど、もう失恋には触れてほしくないのかと判断して頷いた。 「玲さんがいない時に呑みに来ることも、結構あって…」 「あぁ、飯が旨いって友達に好評なんだよ。ここ」 友達ってのはたぶん赤坂と湊のことだろう。俺が連れてったらだいぶ気に入ってたし… 「俺……一目惚れしてたんです」 「……は?」 「だから、その人が一人で呑んでる時に声をかけて…」 「ちょっ……ちょっと待て!!」 告白?俺、女の友達連れてきたことあるか?いやないよな。連れてきてんのはほとんどあの二人だ。 湊は俺と付き合ってるし、一人で居酒屋来て呑むような男って言ったら… 「知尋、お前が付き合ってたのって…」 「はい……赤坂さんです」 ええぇぇえ!? あの赤坂が、知尋と!? 「きっ……聞いてねぇよ!?」 「いろいろ面倒だから言わないでほしいって言われてたので……すみません」 すみませんで済むか!! 確かに赤坂と呑みに来た時、知尋が働いてたのは覚えてる。 だけど知尋が一目惚れしたとか、赤坂に告白したとか……なんも知らねぇ。 知尋はバイト先の後輩ってだけだからまだいいけど、赤坂は… 「そういや……アイツ、すげぇ秘密主義だったっけ…」 赤坂は湊と正反対で、自分の近況を全く話さない。 彼女できても言わねぇんだろうなって、なんとなく思ってた… 「いつから付き合ってたんだ?」 「一ヶ月くらい前から…」 知尋の話によると、告白した時から赤坂は「別にいいよ」って感じで、一ヶ月間自分から連絡することはなかったらしい。 そして昨日、遂にフラれた、と。 「で、なんでフラれんだよ?」 「……赤坂さん、ずっと好きな人がいるらしくて、その人を忘れられないからって…」 その言葉を聞いた瞬間、心臓を掴まれた気がした。 「玲さん、知ってますか?赤坂さんの好きな人って…」 それは、たぶんアイツのことだ。 俺だってずっと、そんな気がしてた… なんて言えるハズもなく、俺は「知らない」と言うしかなかった。 知尋はなんも疑うことなく「そうですよね」と笑った。表情には明らかに落胆が浮かんでいる。 赤坂、本気でアイツのこと好きだったんだな… [*前へ][次へ#] [戻る] |