君も詐欺師。
七
「お前……まだ出るのか?」
「すみませ……んっ…」
手の平が月島の精液だらけになった。
未だに少しずつ出続けている。
「こんなに気持ちいいと思わなくて……いつもはこんなんじゃ…」
「あー、まぁ別にいいけど」
涙目になって謝る月島を宥めながらティッシュで拭いていると、月島が俺を見つめて言う。
「千川先輩……また、会ってくもらえませんか?」
「え…」
「僕、こういうことならいくらでもしますから!!だから…」
“いくらでも”という言葉に本能が反応した。また、tsuki.の喘ぎ声が聴けるのか…
「……お前、いつも今日くらいの時間に来てんのか?」
月島が不思議そうに頷く。
「明日もここに来い」と命じると、月島がまた目を潤ませた。
「付き合うとかは置いといて……お前の声は好きだし」
「あ、ありがとうございます!!充分嬉しいです!!」
月島は本当に心から嬉しそうな顔をしている。
「その代わり……あんま言うなよ。俺がその、声優ファンやってるとか…」
そう言うと月島はキョトンとして「どうしてですか?」なんてのたまった。
「どうしてって……そんなこと言ったらバカにされるし、イメージと違うとかなんとか言われて面倒なんだよ」
「……僕は、素敵なギャップだと思いますけど…」
……そんな考えの奴もいんのか?
いや、大多数は嫌な顔するだろ。第一、コイツは自分が声優やってるからそういう考えなんだろうし。
「とにかく、黙ってろよ」
「も、もちろんです!!大丈夫です!!僕がtsuki.だってことも、秘密にしてくださいね」
「あぁ……つーかお前、なんで声優なんか…」
言いかけたところでチャイムが鳴った。時計を見ると今のは一限の始鈴らしい。
「……サボるか?授業」
「せ、千川先輩がそうするなら…」
「じゃあどっか行くか」
「いいんですか?」
頷くのも面倒だったから、俺は階段を下り始めた。
「千川先輩……待ってください、本当にいいんですかー?」
だって、積もる話がたくさんあるだろ。お前はなんで声優やってるんだとか、俺がtsuki.を好きになったキッカケとか…
明日から、何をして楽しもうかとか。
お前とは、話すことがたくさんありそうだ。
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