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君も詐欺師。

「う……嘘つくな!!tsuki.は女だ!!」

「tsuki.は女なんて一度も言ったことありません…」

……確かに、プロフィールには『女』なんて書いてないけど。
そういう問題じゃ…

「あ、アカリとか『裸足の恋』の春奈とか『しゃべろう!英語』のマリンとか…」

「本当によく観て下さってますね…」

何故か照れ笑いする眼鏡。

「……全部、女の役だし!!」

「そんなのよくあることですよ?」

「世間はみんな女だと思ってる!!」

「そもそも世間的に有名じゃないですけど……それは、ごめんなさい」

嘘だ…
tsuki.が男?ありえない!!

「俺の気を引こうと、嘘をついてるなら…」

「違います!!僕も今、ビックリしてるんです!!ずっと憧れてた千川先輩が、tsuki.のファンでいてくれてたなんて…」

お前なんかがtsuki.を名乗らないでくれ……!!

「……大体、お前なんていうんだよ?名前」

「えっ、昼休みに紹介したんですけど……月島絵空です」

……“つき”しま…
絶望の淵に立たされた俺に、月島が追い討ちをかけるようにいう。

「あっ、今日のアカリ見逃しちゃったんですよね!?えっと今日は、ユウスケくんと仲直りした後ライバルが登場して…」

「もう、いい…」

tsuki.が、男…

月島が不思議そうにこっちを見ている。俺は朦朧とする意識の中、やっと月島の元を去ることができた。



「あ、お兄ちゃん遅かったね?なんとかアイドルは観なくていいの?」

妹の声が遠く感じる。
そして、頭は真っ白なのに体は習慣的にDVDプレーヤーの再生ボタンを押していた。

『ミュージックアイドルアカリ!!今日もアカリと一緒に…』

アカリの声が、tsuki.が、男…

『ユウスケくんと仲直りできたと思ったら、この子もユウスケくんが好きみたい!!一体どうなっちゃうの?明日のミュージックアイドルアカリは…』

悲しいことに、今日のアカリの内容は月島の言った通りだった。
tsuki.がこんな身近にいたなんて…

またも反射的にパソコンを立ち上げて、SNSのファンページを確認する。
今日もtsuki.に称賛の声。

《tsuki.はうちの学校の生徒だった。しかもなんと、男…》
なんて書き込んでも意味がないからやらないが、信者を見てるともの悲しい!!

《今日改めて思ったけど、tsuki.は絶対美人だろ。声からわかる》

《美人だったら顔出すだろ。他にどういう事情があんだよ?》

書き込みを見て溜め息をついた。こういう事情だよって、言ってやりたい…
ふと思いついて、俺は初めて書き込みをしてみることにした。
自己紹介とかいらないよな、たぶん…

《もしtsuki.が身近にいたらどうする?》

俺の書き込みにはすぐ返事が来た。
《そういう妄想もtsuki.だからこそできるよな。とりあえず抱き締めたい》
《正直ブスだったら落ち込む》
《アカリ第五話再現してもらう》
いろいろ書くな。みんな…

《とりあえずエロい言葉言わせる。どんな外見だとしても、声のエロさは間違いない》

《あえぎ声聞かせてくださいって土下座》

……エロいこと、か。
確かに俺も、tsuki.のエロボイスは何度も妄想したな。
男相手に、なんてバカなことしてたんだろうか…

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あきゅろす。
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