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A−2
「はい、勝利。」

「…俺にか?」

「当たり前じゃない。仮にも……おにーちゃんだし。」

薫が恥らいながらもそういうと、勝利は目頭を押さえて、

「まさか、妹からバレンタインのチョコがもらえるとはっ!!」

といいながら発狂し始めた。

とりあえずは喜んでくれたようなので、薫は一件落着と一息ついた。

義理だと言うことが忍ばれるほど喜ぶ勝利を放って、そそくさと薫は眞魔国へ向かった。

早く、彼に会わなければという強い思いが薫を突き動かした。

「あれ?薫、帰ってきたんだ?」

ふと気づけば、有利が薫に手を振って駆け寄ってきた。

「うん。ただいま。」

「おかえり。何しに行ってたんだ?」

ギャルゲーをしている勝利はまだしも、全くバレンタインに縁のない有利は今日が何の日かも覚えていないらしい。

さすが、彼女いない暦=年齢だと感心する反面、ちょっと薫は有利に同情した。

「その、バレンタインのチョコをつくりにね。」

「あぁ、そっか……ってマジで!?」

「え、うん。」

「俺はそういうの縁ないから、忘れてたよ。」

あえて傷に触れないようにと薫が避けていた話題を、有利自ら口にした。

あははと苦笑いしながら語る有利はなんとも哀れである。

「そっか。薫にも好きな奴とかいるんだな。」

ぼそっとつぶやいた有利の声は、薫の耳にはっきりと届かずに薫が聞き返したが、有利は顔を真っ赤にして『気にしないでいいよ』と言った。

「…有利にも、作ってきたんだ。」

「え?マジで。俺、バレンタインにお袋以外の女子からチョコもらったことなんかなくてさ。」

勝利と同じく有利も目頭を押さえて、熱く語りだした。

悲しき哉、やはり二人は兄弟だと再認識させられた瞬間だった。

(それにしても痛い発言…)

薫は、チョコを持ってきてよかったと改めて思った。

「はい。じゃあ、どうぞ。」



そして、薫は…


義理チョコを渡す

本命チョコを渡す






あきゅろす。
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