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novel【BL】
眠っている間に(XS)
独立暗殺部隊ヴァリアーが企てたクーデターは、ボスであるXANXUSが凍り付けにされるという最悪の形で幕を閉じた。


俺がその永い眠りから目覚めたのは、ほんの1ヶ月前だ。傷も段々よくなってきている。そんな俺の目の前では、今スクアーロが忙しなく部屋を行ったり来たりしている。その様子を、いつものように執務用の椅子(もはや一人掛けソファーだが...)に深々と腰掛けながら眺めていた。
不意に以前ルッスーリアから聞いた話を思い出した。

「スクアーロったらボスが居なくなってから、毎日毎日任務に出て、常に最前線で剣を振るってたわぁ。まるで、ボスが居ない哀しみを紛らすように。アジトに戻ったら否が応でもボスが居ない現実を突き付けられるじゃない?」

と。俺が眠ってる間にもお前は、数えきれない程のカスどもをかっ捌き、鮮血のベールをその銀糸に纏っていたのか?その透き通る様に白い肌に傷をおったのか、スクアーロ?
そんなことを考えているうちに無性に腹が立って、次の瞬間、俺はさっきから目の前で揺らめく銀糸をひっ掴んだ。

「ゔお゙ぉい!?」

いきなり髪を引っ張られたスクアーロはよろめきながらも、背後にある執務用デスクに手を付いて何とか身体を支えた。何すんだ!!と怒りながら勢いよく振り向く。
あまりに予想通りの反応に、俺は口角を上げ不敵に微笑むと、スクアーロの唇に荒っぽく己のそれを重ねた。
すると頬を上気させ見上げてきた。その表情は誘っているようにさえ見え、今すぐ食ってやろうか?とも思ったが目の前に容赦なく積み重ねられた書類の山が視界に入り、深い溜め息をつきしぶしぶ諦めた。

「フンッ...さっさと仕事しろ。それとも何だ、欲情でもしやがったか?」
「そ、そんな訳ねぇ!!報告は済んだからもう部屋戻るぜぇ?」

踵を返しドアへ向かうスクアーロ。
頬赤くしやがって満更でもねぇくせに。そんなあいつを後ろから抱きしめ、より一層低く掠れた声で耳元で囁いた。

「この続きは後でたっぷりくれてやる。」
「な゙っ!?」
「我慢できるな?」
「...出来る」

よし、いい子だと言って頭を優しく撫でてやると、絶対だからなぁ?と照れながらも、念を押してから執務室を出て行った。


てめぇに触れて良いのも、傷つけて良いのも、この俺ただ一人だ。と、出て行ったドアを眺めながら一人呟いた。








End

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あきゅろす。
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