特別な想いに気づかない(東条)



私には、苦手なヤツがいる。


明るくて天然でお人好しな爽やか野郎。


東条秀明、だ。












コイツはそこらへんのホストよりたちが悪い。
無意識だからだ。無意識のくせに女子のツボをついて、それにやられた女子は多数。
その中の一人は私だったりする。

中学のとき、金丸を通じて仲良くなって、好きになって。
思わず告白したらあっけなく振られた。

それから一年が経って、青道高校に入学したわけだが。



「―…おはよ、多部!」

「、」


なんでコイツは、振った人にこんな普通に話しかけてくるんだろう。


「……お、はよ」

無視するわけにはいかず、曖昧に挨拶。

「今日、日直当番だね」

「あ、うん…」

「がんばれ!」

「はは…」

正直、気まずい。

振られても普通に接してほしいという人の気持ちが知れない。


私は、どちらかというと顔も合わせたくないのだ。
どう対応していいのか、分からないし。

それに―…



「…あ、指、血出てる」

東条が私の人差し指に気付いて言う。

「、ほんとだ。いつの間に」

どこで怪我したかなー、と考えていたら東条が「俺バンソウコウ持ってるよ」と言って取り出し、「かして」と私の手を握る。

可愛いキャラクターのバンソウコウが私の指に巻かれた。

女子か、と心の中でつっこむ。


「よし、出来た」

「…ありがと」

「どういたしまして」


へへ、と東条が笑う。
幼さが残る無邪気な笑顔。

未だにこれにはドキドキしてしまうからムカつく。


これだから、嫌なんだ。
また好きになってしまいそうだから。



こんな気持ちも考えずに話しかけてるんだろうなぁ、この鈍感男は。

なんて思っていたら、

「―多部って、鈍感だよなぁ」

と言われた。

(いやお前に言われたくねぇんだけどぉぉ!!)

と瞬時につっこんだ汚い言葉はしまって、

「…東条のが鈍感だと思うよ」

と冷静につっこんでみた。


「いや多部のが鈍感だって。

ってか俺は鈍感じゃないし」

「(鈍感だって気付いてない時点で鈍感だっつのバーカ)

…私より遥かに鈍感ですよ」

「そう?」

「うん。もう遥か彼方、雲の向こう岸のラピュタにたどり着くくらいの差だね」

「なにそれ(笑)」


ひでぇ、と笑う東条。


「―じゃあ、お互い様か!」

結局、東条が出した結論はこれになった。

やめてくれ。
東条と並ぶほど、私は鈍感じゃない。
とゆうか、

「そもそも私は鈍感じゃない」

―そうだよ。
何を根拠に東条に鈍感と言われなきゃいけないのだ。

それでも東条は断固として否定する。


「鈍感じゃん」

「違う」

「ぜったいそうだって」

「なんでよ」


「―だって、なんで俺が多部に構うか知らないでしょ?」

「、」


東条が、覗きこむように私を見て、不敵に笑う。


「ほら、やっぱり分かってない」


分かるものか、
天然の考えてることなんて。


だから苦手なんだよ。





特別な想いに気づかない

(それを鈍感な人、というのです。)



*title:ひよこ屋

鈍感鈍感いいすぎて、いい加減しつけぇよおお!!って思った人、
…私も思った←

これ長編にするよ!決めた!
不評だろうがやっちゃうよ\(^o^)/
短編のつもりで書いてたら物語できちゃったから、それで短編用に短くし直したのだからこれ。これは続き書かなきゃでしょ、ね!私得!
ってことで、もし気になる方いらしたら覗いてみてくださいませ☆


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あきゅろす。
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