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シリーズ
−F

「はああああ!?どういうことだ交渉人!」

固まった僕の耳に、一陣さんの声が聞こえる。
こんなこと僕が言うのもおこがましいにもほどがあるんですが、まさに僕も同じセリフを言いたいです一陣さん。
僕と一陣さんの熱視線が突き刺さっているにもかかわらず、バスガイドのように僕に向かって片手を上げ、にっこりと笑ってキツネが口を開く。

「こちら、雨さん。おうちがなくて困ってるらしいんで、是非、零さんちへ!」
「馬鹿言ってんじゃねぇよ!なんで、俺んちにこんなヤツ入れなきゃなんねーんだよ!!」

再び自分で言うのもなんですが、確かに僕を同居させるメリットがなさすぎる。
っていうか、デメリットだらけなんじゃ…。

「だって零さん、ほら最近、飼ってたチワワがいなくなって零時寂しい…!って泣いてたじゃないですか」
「誰が泣くか!!」
「兄ちゃん達が言ってました…」
「お前も、あの双子のこと盲信的に信じ過ぎんだろ……って、その笑いは確信犯か!」
「雨、料理もその他家事もなんでもできるって言ってたじゃん?ナイス家政婦!」
「無視か!つか、家政婦なんていらねぇよ!困ってねぇし、」
「『青』のみなさん、零さんのあのどうしようもないジャンクフード塗れの生活嘆いてましたよ。」
「アァ!?」

キツネの言葉に一陣さんが後ろを振り向き、後ろにたむろっていた人たちを睨みつける。
すると、こっちを興味深々に見ていた人たちが、皆一斉に目をそらして。
けれどそのうちの何人かが、こちらを見つつ大きくうなずいているのが見えた。

「ほら。」
「テメェら、余計なこと言ってんじゃねーよ!」

一陣さんに怒鳴られても、へらへら笑っているところを見ると、あの辺の人たちは幹部の地位にいる人たちなのかな。
自分に怒鳴られてるわけじゃなくてもこんなに怖いのに、すごいなぁ。
と、思わず僕の思考が、現実逃避し始めたのは仕方ないと思う。
じょ、状況に脳みそがついていかない・・・よ・・・?



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