犬馬の心
3
徐に携帯を取り出そうと、ポケットに手を突っ込んだ。
すると、カサッと紙切れのようなものが指に触れた。
あ…。いけね、忘れてた。
これは昨日の乱闘の後、蘭に渡されたものだった。
付き合っている間柄でもないのにキスをしてくる事も含め、蘭の淫行について真実を突き止めてやめさせようと教師ドラマ並みの熱血心で挑んだのに結局蘭に話のペースを取られてしまった。
『蘭、そこに座れ。話の途中だったんだからな。お前、何であの部屋に『それよりさぁ、僕、探し物してるって言ったよねー、それがさぁ』ってな感じで。
今夜こそアイツの淫行を止めねーと。
説教うんぬんはさておき、この紙切れに書かれた物が蘭の探している物に関係するらしい。
そこに書かれているもの。
それは星のような形をしたマークだった。
だが俺はこんなマーク知らない。チラっと何処かで見た気もするが、星型なんて世の中に溢れまくってる。
知らねぇと一言いうと、蘭は呆れていた。
『毎日見てるでしょ!?もうっ!分かったら続き話すから調べといて!おやすみっ』と一方的に会話を打ち切られた。
なので探し物も分からず終い。
紙切れを取り出してタケルに差し出した。
「これ、何か知ってるか?」
「んー、これがどうした?」
「や、だから、コレ何?なんのマーク?」
「は?犬真知らねぇの?」
目を見開いて驚いたタケルは冗談だろ、という顔で言葉を続けた。
「知らないって…。毎日見てんじゃん」
は?毎日見てる?
そういや蘭も毎日見てるじゃんって言ってたな。
コレだよと俺の胸元を指差した。
そこにあるのはブレザーのポケット…に刺繍された校章。
(………校章!?!?)
俺は自分のブレザーとタケルのブレザー、そして紙切れを順々に見た。
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