白我美覚醒@

 黒我美の突き放したような言葉に、驚く白我美。
「何か策があって、キラーエースの妨害に来たんじゃないスか?」
「そんなもん無いっスよ、だいたいこれは白我美とキラーエースの問題っス……いくら修行をしても、白我美には特化能力が開花する兆しもなくて時間のムダだったス……努力なんてしても無意味っス」
 黒我美の言葉にうつ向き、拳を握りしめた白我美の裸体がワナワナと震える。
「ムダなんかじゃないっス……師匠がしてくれた修行の時間はムダなんかじゃないっス」
 黒我美が白我美の言葉を否定する。
「はぁ? 何わけわからないコト言っているっスか……いつまで経っても特化能力が覚醒しなかったら、ムダな時間っス……もう、諦めるっス」
「諦めるなんてできないっス……師匠がいたから、ここまで来れたっス……黒我美の師匠と過ごした二人の時間はムダな時間じゃないっスっ!!!!」
 次の瞬間、白我美と黒我美の体が光った。
 眩い能力開花の光りに楯の陰で目を細める、キラーエース。
「この輝きは? なんぜよ?」
 白我美と黒我美は全身に力が満ちてくるのを感じた。
 黒我美が白我美に言った。
「これを待っていたっス……手をつなぐっス、早く!」
 黒我美と白我美が手をつなぐと、力がさらに高まっていく。
 白我美の口から、勝手に口上が出る。
「闇の力に染まりし……『裸族人類が存在する退屈で無い並列世界』を荒らすアコギな者よ……自己チューなキラーエースさん、お覚悟はよろしくて……な、なんすかコレ? 勝手にポーズと意味不明な言葉の羅列が? ありえな〜いっス」
 黒我美が白我美に訊ねる。
「今の心情を言うっス」
「今の心情って言ったスか、マ●コキュンキュンで、絶好調っス、うるとらハッピーで決定ぃ〜で、ビックなエロをピカッとひらめいたっス……でも、堪忍袋の緒が切れて。ここでやらなきゃ、女がすたる気分っス……あぁ、なんかワケわからないっス」
「一発、キラーエースにぶちかますっス」
「わかったっス……二人の奇跡っス……ふんむっ、気合いだ、気合いだ、気合いだぁ!」
 白我美と黒我美が握っていない方の手で拳を握りパワーを溜めてから、キラーエースに向かって白と黒の光線がねじり混ざったようなモノを放った。

ふたりは、エロ●ュアっス!!!
 発射時の衝撃で、商店街内では炒飯が皿ごと宙に舞い、麻婆豆腐が豪快に吹っ飛んだ。
 白黒マーブルな光線の直撃を受けて空中に吹き飛ばされたキラーエースは「あふッ」と悩ましい表情で軽く絶頂する。

 顔を少し絶頂紅潮させ、はぁはぁと淫らな笑みを浮かべたキラーエースは、白我美と黒我美に向かって。
「覚えているぜよ」
 と、捨てゼリフを残して『真日本国』の方角へ飛び去って行った。
 キラーエースがいなくなると、白我美が嬉々とした顔で言った。
「すごいっス……これがボクに宿っていた特化能力っスか。この能力を覚醒させるために、師匠はあんな冷たいコトをワザと言ったんスね……師匠と一緒ならキラーエースなんて怖くないっス、二人はメチャクチャタフっス!」

 白我美の言葉に黒我美は、少し曇った表情で。
(それじゃあダメっス……一人でも特化能力を使えなければ、白我美が別並列世界に帰った時に困るっス……【第二覚醒】が必要っス)
 無言でスタスタと歩き出す黒我美。
「師匠、待ってくださいっス」
 黒我美を追って白我美が去ると、建物の壊れた部分が自然に直った。

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