【淫魔都市】E ラスト2 →【シュガー山脈】@へ

 翌日……『淫魔都市駅』のホームに裸で立ち、軍医タコたちを見送る。
 マララ、ヌーブラ、ティンポスキーの姿があった。
 線路沿いのフェンスには、真地球の囚われ市民たちが群がり。軍医タコを罵る言葉が書かれた段幕やプラカードを持って罵声を発っしていた。
 淫魔族の駅警備員たちが、改札口を飛び越えて構内に侵入しようとする真地球の市民たちを穏便な態度で制している。
 マララが響子に言った。
「まるで、初めて知った人の愛のような敗北だった……すばらしいセックスだった」
 ヌーブラが我美と握手を交わす。
「次にセックスする時は負けないからね……他の淫乱ライダーの力も、この体に試してね」
 ティンポスキーと乙姫は威圧し合っているような、上から目線で互いを見ていた。
「次は鍛えた献体チ●コで、ア●ルからチ●コ突っ込んで、子宮ギシギシ音させてやるからな……マ●コ洗って待っていろ」
「やれるもんならやってみなさいよ、ア●ルで返り討ちにしてやるから」
 ティンポスキーが軍医タコの方に乙姫の時とは態度を一変させた、柔らかい物腰で言った。
「この先の『シュガー山脈』には厄介な甘い裸女グループが居ますから……気をつけて、機嫌を損ねて敵に回ると厄介だから……決して逆らわないように」
 警笛を鳴らしてライオン型列車は淫魔族の駅を離れ、次の目的地『シュガー山脈』へと向かった。


 草原に敷かれた線路を進むライオン型列車の前方に、白い雪を被った鋭角の山々が見えてきた。
 破華姉ぇが説明する。
「あの山はチョコレートケーキに粉砂糖をまぶしたシュガー山脈の最高峰、頂上に乗っているのはドライチェリーで、山から流れてくる川はチョコレート」
 破華姉ぇは山脈の他の山も説明する。「ジェラート山は、切り立った鋭い冷峰……頂上が平らのプリン山にはカラメルソースがかけられ、山の下側はホイップクリームでデコレーションされている」
 その他にも銀色のアラザンやチョコチップ、カラースプレーでお菓子みたいに飾りつけされた里山や、色とりどりのチョコレートデコレーションペンで波模様を装飾された丸い山などもあった。
 誰もツッコミをしないので響子が破華姉ぇに訊ねる。
「あの山、食べられるんですか?」
「もちろん、土台の岩山は食べられないけれど、その上に盛られた菓子は全部食べられる……アイス系の山は夏場になると溶けて形が変わるけれど、翌年になると別の種類のアイスに変わる……時にはダブルやトリプルに重ねられた年も」
さすがに響子も、誰が岩山に生クリームを塗ったりパウンドケーキを張りつけたり、アイスをダブルやトリプルにしているのか、までは聞けなかった。

 やがて列車は甘い匂いが漂う、シュガー山脈麓の町……『ブライド・タウン』に到着した。ブライド・タウンは木造建築の建物が並ぶウェスタン風の町だった。
 住民の若い女性は半数が、ウェディングドレス姿で生活をしている。
 残りの半数は顔面丸出しのアリの被り物をして、アリの着ぐるみコスプレをして町を歩き回っていた。
 軍医タコがアリの着ぐるみコスプレの女性たちについて、破華姉ぇに質問してみた。
「アリのコスプレをしている彼女たちは何ですか?」
「アリから進化した人間だ……今はあの山を喰いつくそうとしている」
 破華姉ぇが指差した先には、真っ黒い小山が見えた。
「あの山の近くに巣がある……ちょうど、そこの観光案内板にアリから人間へ進化していく経過が描かれている」
 案内板に近づいてよく見ると、左の方に小さい一匹のアリが描かれ→の先には等身に巨大化したアリ→後ろ足二本で直立したアリ→全裸の女性→アリの顔出し着ぐるみを着た女性の姿が進化図で描かれていた。
 あきらかに、おかしい進化だった。
「彼女たちに一年間分の食糧となる山を与えておくコトで、山脈を食べられないで済む……アリ人間には町の雑務もやってもらっている」
 軍医タコが感心した口調で言った。
「花嫁とアリ人間が共存している町ですか」
 その時……いきなり空から軍医タコたちの前に巨大なケーキが落ちてきた。



「どうもぅ……この地を治めるスイーツ裸女グループ、通称『水女』〔すいじょ〕のリーダーやっています『ウェディング』どぇ〜〜す、よろちくび」



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あきゅろす。
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