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涼宮ナツキの策略
第28話
「で、だ。何で美春なんだ?」

弁当箱を片付ける国木田に、俺は尋ねてみた。国木田は溜息をついて、

「それから先は本人に聞きなよ。俺は時間移動は出来ないから詳しいことはわかんないし」

朝倉の方を向くが、朝倉も分からないみたいで首を振る。まったく、肝心なとこは自分で考えろと言うことか。まあ、そっちの方が楽しいと言えば楽しいんだけどな。

「ありがとう、いい参考になった」

俺は立ち上がってスカートのほこりを掃い、一人で屋上から去った。向かう先は特にはないのだが、休憩時間が終わるにはまだ少し余裕がある。

「美春、ねえ」

中庭の芝生に寝転んで、空を見上げながら呟いた。食後の食休みってやつだ。眠気が襲ってきそうだが、かろうじて耐えているところだ。

「あたしがどうしたの?」

と、いきなり視界に美春の顔が飛び込んできて、俺は驚いて飛び起きた。さっきの眠気もどこ吹く風で俺は美春のいきなりの登場に驚いた。

「キョウさん、こんにちは」

長門さんは落ち着いた様子で挨拶をしてくれたが、俺はこくりと首を縦に振ることくらいしか出来なかった。

「もー、キョウくんビックリしすぎ」

美春はくすくす笑いながら俺の顔を見ていた。あれ?こいつ昨日あの場所に来てたっけか?

「私が話しておきました。いろいろ不便でしょうから」

ありがとうございます長門さん。余計な手間が省けました。

「それで、何であたしの名前呼んだの?」

「特に意味はない。ただ単に言ってみたかっただけだ」

俺は溜息をついてまたねっころがると、美春は急に真剣な顔になって、

「嘘だ!」

と叫んだ。俺は思わずまた飛び起きて、美春の顔を見つめた。

「いっつもキョウくんはそうだもん。たまにはあたしも頼って欲しいな」

しょぼんとして、うつむく美春に、俺は思わず語り始めてしまった。

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