涼宮ナツキの策略
エピソード5
リリス・オランジェ先生に連れられて、あたしたちはある部屋に入った。学校の教室くらいの広さで、ホワイトボードと教卓、それから空席二つを含めた四つの机が並べられていた。そして、男性が二人席に座っていて、もう一人ホワイトボードの横に立っている。
「じゃあ、空いた席に座って」
リリス・オランジェ先生に言われて、あたしたちが席につくと、教卓にひょこっとリリス・オランジェ先生の頭が出てくる。
「じゃあ、みんな揃ったということで。ようこそ強化合宿コースへ!」
リリス・オランジェ先生の元気な声が教室を包む。先生はホワイトボードにペンで自分の名前を書くと、振り返り、また口を開く。
「あたしはこのクラスの教科担当リリス・オランジェです。長いからりりぃでいいよ。りりぃ先生って呼んでね!」
小柄な体によく似合う愛称で、あたしはちょっと笑ってしまった。
「そして、あたしのサポート役で実技を担当してくれる近藤裕壬先生よ」
りりぃ先生とは対照的に、大柄でスーツの決まっている男性が深々とお辞儀をする。
「これから三日間という短い期間ですが、三日後にはお土産があげれるように頑張りますので、よろしくお願いしま……いたっ!」
ゴツンと音がしてりりぃ先生の悲鳴が走る。お辞儀しようとして教卓に頭をぶつけた瞬間、教室は笑いに包まれた。
「あぅ……みんなひどいよ」
ボソッとりりぃ先生は嘆いたが、みんなの笑い声で消えてしまった。
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