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涼宮ナツキの退屈
第二話
事の起こりは数日前に遡る。

夏休みも終わったってのにまだ暑い9月のある日のこと、俺とナツキは母さんから呼び出しを食らった。

「でね、SOS団に頼みたいことがあるの」

表向きの顔は生徒社会を応援する世界造りの奉仕団体であるSOS団の初仕事が母さんの口から発せられるまで、俺はこんなに大変なことをしてのけるのかとため息をつくハメになるなんて思いもしなかった。

「今年の北高の会誌をSOS団でつくってほしいの」

母さんは机の上にある書類に目を通すと、それを俺に渡した。

「母さん。これ何?」

俺の手に持たされているのは分厚い紙の束。100枚は重なっているだろうか。

「過去の会誌よ。20年くらい前のやつ」

母さんは誇らしげに胸を張る。もしかしてこれ母さんが書いたとかじゃないだろうな?

「よく分かったわね。正解よ」

母さんはそう言うと、ニッと笑った。

「で、お姉ちゃん。なんであたしたちがこんなのを書かないといけないの?」

俺の手に持たれている少し変色した紙の束を覗きこんでナツキは尋ねた。

「だって、SOS団はまだ何も活動してないでしょ?だからね、今年は廃部になっている文芸部の代わりに北高の会誌を作ってもらおうと思ってね」

母さんは腕と足を組むと、椅子の背もたれに寄りかかってギコギコと鳴らす。

「つまり、これはある一種の課題ね」

ナツキは何を納得したのかうんうんと頷く。

「わかったわお姉ちゃん。いつまでに完成させればいい?」

「そうね。文化祭までに完成できればよしにしましょう」

文化祭って……あと2か月しかないじゃないか!

「それだけあれば十分よ!絶対面白いの仕上げてくるわね」

そう言うと、ナツキは母さんにペコリとおじぎをして俺の腕を引っ張って、職員室を出た。

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あきゅろす。
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