涼宮ナツキの憂鬱 第二十九話 次の日── まったく寝れなかった俺の体は所々悲鳴を上げていた。昨日のサッカー対決のせいでもあるが、あの顔を思い出すだけで俺の体は眠ることを許さなかった。 「痛ぇ」 もちろん俺の体はガタガタであり、体のいたるところが筋肉痛である。体を動かすのが久々とはいえ、我ながら情けない。 「くそっ」 なぜかあの顔が忘れられない。俺らしくもないな、さっさと顔を洗って目を覚ますこととしよう。でもやっぱり眠いものは眠い。今日の学校はサボろうかと思ったが、親父が担任だ。サボったら即効死刑だろうな。 「ふあ〜ぁ」 大きなあくびを一つして俺は学校に向かうことにした。 「朝から大きなあくびだねキョウくん」 「まあ昨日は寝れなかったからな」 「あれだけうわさが流れていれば当たり前かな」 ……ちょっと待て。俺は誰としゃべっているのだろう。 「だーれだ」 突然視界が真っ暗になった。こんなのやるやつは一人しかいない。 「美春しかいないじゃないか」 「ピンポーン」 年に似合わない身長と、その身長に似合わない胸、隣の家に住んでいる朝比奈美春は今日もハイテンションだった。 [前へ*][次へ#] [戻る] |