涼宮ナツキの憂鬱
第一一八話
さて、谷口と国木田と別れた後の話になる。俺はもう一度ポケットの中に手を突っ込んで一枚のハンカチを取り出す。薄水色の女物のハンカチだ。
「母さん、このハンカチ母さんのやつ?」
とりあえず母さんのものかと疑い母さんに聞いてみる。
「違うわよ。誰かに借りたんじゃないの?」
「そうかなあ?」
「よく思い出してみなさい」
母さんのものじゃないとしたら誰のものだろう。俺がハンカチを借りるとしたら、美春?長門さん?いいや違う。なら朝倉?いや朝倉に借りた記憶なんてない。
ナツキなら?
……あ!
心のアルバムの一ページに貼られている写真を取り出す。屋上での青い空の下あいつの弁当を食べたとき、あいつにハンカチを借りた。俺はそれを返した覚えがない。これがあのハンカチならば、これは数少ないヒントの一つじゃないか。
俺はノートを開いた。ノートのすみにはシンデレラという5文字が書かれている。シンデレラといえばなんだ?意地悪姉さん、かぼちゃの馬車、舞踏会……いいや違う。ならなんだ?12時の鐘、ガラスの靴、王子様……
ガラスの靴?
このハンカチがガラスの靴ならば俺はシンデレラ、つまりナツキを探さなければならない。それは今やってることだ。ならなんなんだ?このハンカチはガラスの靴みたいにはいて確かめることができない。しかも持ち主がわかっている。
なあナツキ……もう少し解りやすいヒントにしてくれないか?
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