涼宮ナツキの憂鬱 第一一六話 ナツキの願望。 何なんだろうないったい。そもそもナツキがいなきゃ願望なんて叶えられないだろう?長門先生もおかしなことを言うものだな。 でもあいつが望んでいるなら俺はそれを叶えてやりたい。あいつに会えるのなら。 というか、あいつにはまだ俺を満足させてもらえてねえ。あいつと約束も交わした。それなら俺はSOS団を辞めてやる。でも、それを誰に言えばいいんだ?雲隠れしたナツキしかいないだろう。 ……そういえばまだ飯を食ってなかったな。 と思っていると、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。やべ、次は体育じゃねえか。やれやれ、こりゃ昼飯は抜きだな。 「遅かったな」 当然遅刻した体育の授業の罰を受けたのは言うまでもない。谷口先生のげんこつをありがたく頂戴した。 残り1時間俺は笑い者となってしまった。女子の皆さんの視線が痛々しい。 「すっかり笑い者になってしまったな」 「言ってろ」 朝、あんなことしたっていうのに、谷口は俺の肩をたたきながら話しかけてきた。 「朝、悪かったな」 「何が?」 谷口はすっかり忘れているのか首をかしげていた。 「ああ、ならいい」 谷口の物分りの良さなのか、ほんとに忘れているのか知らないが、俺は谷口に感謝した。もちろん口には出さないが…… [前へ*][次へ#] [戻る] |