恋するあの子は無表情。
…ご。
「あー、笑った笑った…」
麻生は涙を拭いながら言った。
「…。」
俺としては、何1つとして…面白くない…。
「ふぅ…君、面白いね」
麻生は妖しく笑い俺に一歩近づく。
…嫌な感じだ
「あーっと、なっちゃんは帰って良いよー?」
口ではそう言っているが…口調は帰れと言っているようなものだ。
「ぁ…はい…。」
なっちゃんと呼ばれた美少年は切なそうな表情を浮かべ、俯き部屋を出た。
一瞬、俺を悔しそうな目で見たのを感じた。
「さーて、なっちゃんが帰ったところで…」
「…。」
お前が帰らせたんだろ、とは言わないでおこう。
「君、名前何て言ったっけ?」
…覚えてないなら放っておいてくれ…。
「笹本…文人……です。」
「文人……あやちゃんだね。」
「いやです。」
あやちゃん…?
麻生…コイツは、ふざけてるのか?
思わず即答してしまった…
「あははっ、あやちゃんは何考えてるか分かんない顔してるね」
スルーかよ…。
というか、無表情なのは生まれつきだ…。と思う。
「俺は麻生司。皆からは司様って呼ばれてるよ」
自分で言うか。
「でも、あやちゃんは特別に司って呼んで良いよ」
「麻生さんは…何年生ですか…」
「ありゃ…スルー?」
ざまぁ、誰が司なんて呼ぶものか…
どうも調子が狂う。
俺は麻生が嫌いらしい…
というか嫌いだ
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