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2。









『…此処の海は荒れないのか』



アクアラインの最大休憩所に到着し、折角だからと上の階へと上がる。以外にもちゃんと男は素直に車から降りてさっさとエスカレーターに向かっていってちょっと微笑ましかった。うんうん、やっぱり興味あるよね。
世間を斜めに見てそうな相貌だが、海を渡る職業をしているらしい男なら海原は何処へ行っても好きなものだろう。というかわたしが海が好きなだけなんだけど。


はてさて。
最上階へ登って360度見渡す限りの海のど真ん中にあるこの地の感想がそれですか。
けど、そうだよね。海の真ん中にあるって、津波が来たら一発で危ないよね。



『あはは、やっぱりそう思うよね。一応、この国は季節が四季折々っていう位変化はあるのかな。今は初夏って所かなー。これから熱帯低気圧が活発になる時期だから台風とかあるけど…』
『ここには海王類は居ないのか』
『へ、カイオウルイ?どんなもの?大王烏賊とかのたぐい?』
『…巨大な生物だ。船を襲ったりもする獰猛な生き物だ』
『いません。っていうか居て堪るか!キミの世界の海はなんなの?!』



恐ろし過ぎる説明が返ってきて、こっちが吃驚するわ。
というか、そういえば始め嵐に襲われたとか、大渦がどうとか言っていた気がする。目の前の男の世界はなんというか、想像出来ない世界なのか。



『…だからこの世界は危機意識が低いのか。皆、武器を所持していないな』
『いやいや、だからここは銃刀法違反っていう法律があるんです。この国はちょっと特殊で他の国は拳銃とか護身要具は持っているよ』



着眼点が良く分からない。
良く周りを見ているし洞察力や観察力、元々のスペックが高い様だが不思議なことを言う。
疑問に思わないのはわたしがこの平和ボケした生粋の日本人だからかもしれない。外国人から見たら日本人って危機感が無いってことなのかしら。


海を見渡して、様々な料理店を素通りしていく男の後を追う。
興味が無い様で見向きもしないのに苦笑する。後ろを追いかけると、女の子の集団がきゃぁきゃぁ声を上げているのが解る。男がモテるのは昨日も実感したが、どの辺がモテる要素なのか。


この身長やスタイルは日本人は余りいない。ちょっと悪そうな所か?良く分からない。まぁ黙っていれば確かに見てくれは良い。
客観的に観察していると、目の前の男は止まった。




『…ここには休憩で来たんだろう、行くぞ』
『そうだね、行こうか』




渋々だけれどちゃんと付き合ってくれるみたい。











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