プロローグ-02
「で、どーなんだってば?」
いつでも真っ正面からぶつかるのはコイツの良いところ。
それが昔と変わらず健在なのは喜ばしいことではあるのだけれど。
「…ナルト。」
これはなかなか、どうしたものか。
「オレ、オトコ。」
「うん。」
「オマエも、オトコ。」
「う、ん…?」
いきなり何?みたいな顔しないで。
「オトコ同士のオレたちが、何をどーしたらそうなるワケ?」
コイツに常識だとか、そんなの求めたところでどうしようもないのはわかってる。
だけどさすがにコレは。
オレがオマエを好き?
オレがオマエに欲情する?
どうしてオマエはそんな見当違いな考えをおこせるのかな。
何度目だろうね、オマエの頭をこじ開けて中を拝借したいと思ったのは。
「違ぇーの?好きじゃねぇってば?」
ため息混じりに呆れた顔で言い返してみたにも関わらず、まるで此方が間違ってるとでも言いたげな顔で首を傾げる。
そう言えば、コイツは最初から何故か自信ありげだったっけ。
オレが好きだろ?と。
これじゃあ、ただのナルシストだ。
何か確信めいたものでもあるのたろうか?
たとえば、
オレがナルトを好き、
そんな根も葉もない嘘を偶然耳にしただとか。
コイツはバカ正直だから、なんでもすぐ信じるんだ。
忍のくせに、疑うことを知らない。
そんなところも変わっていないのだ、きっと。
「ナルトはなんでそー思ったの?
……その、オレがオマエを好き、だってさ。」
ナルトたちを受け持った日から正確には十三年経って。
昔は相当言い寄られていたオレも、ついには世代交代とかいう波に当てられて。
過去に言い寄ってきた者たちは未来を担う若き忍たちに夢中になり、芽が出たばかりのこれまた若き忍たちからすれば四十もすればもう年寄り扱い。
まだまだイケる、なんてどこか自信満々だったせいで婚期を逃がし、今じゃ俗にいう、あぶれ者。
だからといって別に困りはしない。
前ほどはいかなくても、やはり不自由はしていないのだ。
四十には四十の、大人の良さ、があるわけで、それを出すコツさえ掴めばやはりオレもまだまだイケる、と最近気づいた。
そう、
つまりオレは丸みを帯びた柔らかな女の身体が好きなわけで、間違っても目の前にいる筋肉質のゴツゴツとした男に欲情するだなんて有り得るわけがない。
「んー、それは…」
「それは…?」
ナルト、確かにオレはオマエが好きだ。
だけどそれは所謂"師弟愛"。
…そうでしょう?
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