[携帯モード] [URL送信]
バイバイ、ハロー、-03









―ガタン、


肩を掴む手の力が緩んだ隙に、大人は腰をあげた。


振りほどかれた両手は宙を巻い、行き場をなくす。


顔なんて見たくない、冷めた目をして自分を見る顔なんて見たくもない、咄嗟に俯き、見下げているだろう大人の視線から逃れる。


すると、何かが身体を覆った。


「…それは、こっちのセリフ、なんだけど」


耳元で囁かれる声に、オレは抱きしめられているのか、と現状を把握する。


だけど発せられた言葉の意味も、この行動の意図もわからない。


「…オレが言うのもなんだけど、オマエ毎回上の空だったでしょ、オレとシてるとき、」


「……そんなこと、」


ない、とは言えなかった。


何か別の事を考えていないと、気持ちが隠し通せそうになかったから、


好きだと縋りついてしまいそうだったから、


「だからオレは、望みなんてないな、って、そう思って…、」


…望み?


そんな、ありえない、


だってそれじゃあ、まるで―


「好き、だった、じゃないとあんな事、しない、」


好き?先生が、オレ、を?


「じゃあ!じゃあ、なんでここ最近オレの事避けてたんだってばよ!!」


抱きつく身体を突き放し、先生の顔を見上げれば、想像していた冷めた瞳なんてそこにはなくて、見てるこっちが悲しくなる程切なげな顔。


「だって今日、オマエは居なくなるんだよ?もう、終わらせないといけないんだ、だから、忘れようと、諦めようと、必死で…、」





あぁ、オレも先生も、なんてバカなんだろう。


もっと早く気持ちを伝えていれば、こんなことにならなくてすんだのに。





















「せんせー、」


「…ん?」


「オレは今日、この学校を卒業するけど、」


「…うん、」


「…せんせーからは卒業しなくていい?」














さようなら、
(愛の見えない、苦しい日々)


こんにちは、
(愛に溢れた、幸せな日々)








→オマケ


[←][→]

3/4ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!