偽り
13
「…つくも様?どうしたんですか?…僕を抱いてくれないんですか?」
自棄になった俺はもっと媚びようとそんな言葉を言っていた。この際襲われないならどうでもいい。早く俺の上から退いてくれ。
「…じゃぁ、食う」「ちょっとまった」
俺はとっさにつくもの手首を掴んでいた。え、もしかしてこれ効いてない?
「……手、邪魔」
「……あ、あの、つくも様、お…僕なんかでほんとにいいんですか?」
「……お前がいい」
なんだよ、その殺し文句。俺はそんな言葉がほしいんじゃねー。あー、俺、どーしたらいいんだ…。
目の前にいる男は不適に笑ってるし。俺の何がいいんだよ。誰か助けて。
「……」
「…手邪魔」
俺は維持でも手を離さないと決めた。これでボタンは外せまい。この間に次の作戦を考えないと。
「おぉっ!」
「………」
いきなりつくもの顔が近づいてきて俺は叫んだ。同時に勢いよく顔を横に動かした。てか、キスしようとしたよこの人!ない、ない、ありえないって。
舌打ちをして 、明らかに不機嫌なつくもを横目で見ながら頭の中をフル回転に動かしヒロに教わった秘技を思い出していた。
「……」
「……」
沈黙が続く中、スッとつくもの顔が離れていくのを確認しながら、俺はおもいっきり大声で叫んだ。これでもかってくらい叫んだ。何を言ったかは覚えてない。とにかく大声を出して相手が怯むのをまった。ほんの少し俺にかかってる体重が軽くなったのを合図に俺はおもいっきり体を横に転がした。バランスを崩したつくもからすぐ体を起こし、一目散にドアに向かって走って屋上から出ていった。
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