偽り
14
九十九side
「…逃げられたか」
ポケットから煙草を取りだしフェンスに寄りかかる。
「……やっぱほしいな、アレ」
自分でもわからない何か強い思いが俺の心を動かす。あいつが欲しくてたまらない。初めてだこんな感情。
「あ、いた、つくもここで何してんの?」
小清水が屋上に来た。俺は無視して煙草を一本取りだし火をつけた。
「一服中?」
「……あぁ、」
そう言って俺の隣に勝手に座る小清水。
「なんか良いことあったでしょ?」
突然嬉しそうに俺の顔を見て言う小清水はどこか楽しそうで何か気にくわない。
「もしかして、お目当ての子でも見つけたの?」
「……逃げられた」
「うそ?つくもが逃げられるなんて珍しいね」
何が珍しいかはわかんねぇけど俺も逃げられるとは思っていなかった。…本気で食おうとしたんだけどな。
「ふーん、なんか俺もその子に会ってみたいかも」
「駄目だ」
「なんで、いいじゃん」
「…あいつは、俺の」
それだけ言って俺は立ち上がり屋上から出ていった。
九十九side終わり
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