それが恋、それが愛
22*
「………んっ…」
「…日野?」
「……しぃな…?」
目を開けた俺の目の前に、椎名がいた。
俺はゆっくり起き上がる。
「…………っ…」
起き上がったときに頭に痛みが走り、俺は顔を歪めた。
「おぃ、…まだ寝てろ…」
「…椎名…、姫香ちゃんは…」
俺は自分のことよりも、一緒に落ちた姫香ちゃんのことが気になって、椎名に聞いた。
「………あいつなら足を挫いただけで、大丈夫だ…」
「そっか……」
俺は姫香ちゃんが大した怪我じゃなくてほっとしていた。
「…お前、人の心配するより…」
「椎名、」
「…………日野?」
「………ごめん」
俺は椎名の袖を少し引っ張って、下を向いたまま謝った。
また、椎名を巻き込んでしまったことが嫌で、謝らずにいられなかった…。
「………っ…」
「…椎名?」
「なんでお前が謝んだよっ!」
俺を見てそう叫んだ椎名はとても哀しそうな顔をしていた。
「椎名…」
「…俺が、俺のせいでお前が…」
「……椎名…」
ベッドの上に手をついて自分を責めてる椎名の手に、俺はそっと手を重ねた。
「………」
「椎名…誰も悪くない」
「………日野」
「あれは事故…
……そうだろぉ?」
そう言って、俺は笑って見せた。
「……っ、ホント馬鹿だよお前…、」
「なっ、馬鹿は関け」
「けど…、そういうとこに惚れたんだ…」
「しぃ…」
そう言って、椎名は俺をベッドに押し倒すようにキスをした。
「んっ………」
そのままベッドに倒れた俺は長い間あいつとキスをしていた。
頭の怪我のせいもあって、俺は思うように体を動かせなかった…。
「んっ……ふっ…」
考えることも出来なかった俺は、舌が入ってきたことさえもわからない。
ただ、あいつとキスしている…。
それだけしか今の俺の頭には入ってこなかった。
「……っ…はぁ、…はぁ」
「やっぱ……俺、お前のこと…
……好きみてぇ…」
そう笑っていた椎名を、夢の中で感じながら、俺はそのまま眠っていた…。
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