[携帯モード] [URL送信]

新感覚RPG Sexual Fighter(本編)
◆労働組合◆
蓮の意見に賛成し、一行は労働組合へと向かった。
組合は診断所のすぐ向かいの建物で外観は市役所と類似している。
各自が診断結果のデータを持ち、中へ入った。
すぐに案内嬢がお辞儀をして声を掛けてくる。

案】『ようこそ、労働組合へ。
本日はいかがされましたでしょうか?』

案内嬢は診断所の受付嬢同様に半メカのようだ。

蓮】『適正診断所から来たのだが、就職先を探したい』

案】『かしこまりました。
こちらへどうぞ』

礼儀正しく、再びお辞儀をしてから一行を受付まで連れていく。

受付は就職、転職、退職、相談窓口に分かれている。

一行は就職の受付で整理券を取り、ソファーで待つことになった。
発売前で空いているため、すぐにアナウンスがかかる。

『整理番号8番の方、Aの窓口までどうぞ
繰り返します…―』

機械の音声が事務的に呼び掛けた。


順番はあらかじめジャンケンで決められ、最初は惚乃花が行くことになっていた。

惚】『では、行って参りますね』

プライバシー保護の為、窓口は部屋分かれしている。

惚乃花は沢山のドアの中からAと点滅する看板を見つけ、歩いて行った。
スライド式のドアが自動で開く。

惚】『失礼します』


中は白で統一された小部屋で、品のあるインテリアでまとめられていた。

カウンター越しにはパソコンや色々な機械が配置され、その中央に男性が座っている。

男】『どうぞ、お掛け下さい』

そう言ってカウンター前のソファーを促される。

惚】『あ、ハイ。失礼します』

随分と卑猥なゲームだけに何かあると警戒していた惚乃花だが、意外と真面目な対応で戸惑っていた。

反面、マトモさに安堵し胸を撫で下ろす。

惚】『よろしくお願いします』

惚乃花は診断結果データを差し出しながら、改めて担当者の顔を見た。

惚】『!!!』

カウンター越しに座る初老の男性は、どこか見覚えのある面持ちだった。

…主にTVで。


男】『私が今回担当させていただく、ものみんたです』

そう言って一礼する白髪、色黒の初老男性。

惚】『あー…これって問題にならないのですか?』

も】『?
なりませんよあなた!何言ってるんですか〜、ホラここ!顎にホクロがあるでしょ!
別人の証拠ですよ』


惚】『あぁ…そうなんですか…』

自ら別人を主張する辺りがかなり確信犯だが、どうツッコミを入れればいいか解らなかった。

も】『それじゃあ早速仕事探しましょうか。
マニアックの技能はあなた、いいですよ〜!何せ通常なら職業Lvを上げなきゃ入れないSMクラブやコスプレ系の店に最初から入店できるんですから!』

惚】『はぁ…あの、職業レベルって何でしょうか…』

も】『あぁ、職業Lvはねぇ、冒険で身に付く戦闘Lvとは違うんですよ。
まぁ少しは影響しますけど、基本的に仕事しなきゃ上がりゃしませんよ。

あなたの場合業種が『風俗嬢』だから風俗系の業種から好きなものを選んで頂きます。

一定以上職業Lvが上がるとランクアップします。
Lvアップ、ランクアップごとに様々な技を習得できるんですよ。

中にはある程度高レベルでないと入店できない店なんかもあってね、まぁ色々奥深いんですよねぇこれが…』



その後数十分に及ぶものみんたの説明によると、「転職を繰り返す」パターンと「移籍を繰り返す」パターンがあるらしい。

前者は、例えば風俗嬢の場合、「箱ヘルス→出張ホステス→コスプレサロン」など一つの職業を極めると転職する者。

後者は「格安ソープ→並列店のソープ→高級ソープ」と職業を変えずに、店のレベルを変える者。
例えば格安ソープで「ソープ職」を極めても、一段階上の店に行くと職業Lvはそのままだが、ランクは初期状態に戻ってしまう。
そして新たな店でランクアップすることで更なる技を習得出来るらしい。

まぁ簡潔にまとめると「幅広い技術を習得する」か「一定の技術を強化する」かという事らしい。

最も一つの店で最上級ランクになることは安易ではないらしいが…。


長ったらしい説明が終わった所でやっと本題に入る。

まずは風俗系の職種から在籍する店の系統を決める。

ものみんたはタッチパネル式のモニターをセットした。

も】『好きなものを選んで下さい』

モニターはソープ系、ヘルス系、サロン系、コスプレ系などジャンル分けされており、かなり沢山の種類が用意されていた。


その中から惚乃花は【コスプレソープ】を選択した。

惚】『…本当にこんな店あるのですか?』

も】『ゲームですから』

惚】『…』

も】『惚乃花さんは並列店からのスタートになりますね。

では以下の中から店を選んで下さい』

画面が変わり、今度は貫納射にあるコスプレソープ(並列店)の店舗が次々に表示された。

制服、ナース、メイドやオールジャンルなどに分けられている。

店舗のボタンを押すと在籍人数や店の外装、内装、料金設定など繊細情報が表示されるようだ。

惚】『なんだかリアルですぅ…』

弱ったように肩をすくめる惚乃花。
何を基準に選べばいいのか全くわからず悩んでいると、ものみんたが得意気に画面左下を指差した。

も】『困った時はあなた!テレフォンやオーディエンス、50:50もありますよ!』

惚】『え…それって…』

も】『テレフォンはパートナー設定してる人物に相談できるんですよ、30秒以内ならですけどねぇ。

オーディエンスはチームメンバーで多数決してもらえます。

50:50は私が適当に選択肢の半分をカットします』

惚】『…結構です』


どんよりしながらも惚乃花は一番内装、外装ともに高級感のある店【Mermaid】を選択した。

も】『ファイナルアンサー?』

惚】『…ファイナルアンサー』

何故か緊張感を演出するBGMが流れ始める。

妙にじらすようなものみんたの表情…

しばらくの沈黙…

空気に飲まれた惚乃花は、かなり緊張してものみんたを見つめる。
数秒間が一分にも十分にも感じた…


すると不意にものみんたの眉がピクっと動く…

そして一瞬、悲しそうな表情に歪んだ…
惚乃花はそれを見逃さない。

惚】(………まさか……!!)

益々緊張で高鳴る心音…生唾を飲む。

躊躇うかのように口を開き、息を吸い込むものみんた…
そして口惜しそうに息を吐き、そして声を発する。

長い…長い時間に感じた。
やっと…やっと答えが聞ける。

思わず惚乃花は呼吸すら忘れ、全神経を集中させていた。



も】『ハイ、手続き終了しました。

お帰りはあちらからどうぞー』

プツっとBGMが途切れ、雰囲気をブチ壊すようなあっさりとした口調。

惚】『…』

唖然とする惚乃花。

やがて羞恥心と怒りが込み上げて来た。

惚】『からかいましたねっ!』

本当は氷付けにでもしてやりたいが、システムに関する人間や場所に危害を与えると蓮に迷惑がかかってしまう可能がある…

仕方なしに惚乃花は唇を噛みながら部屋を出ていった。




同時進行して、それぞれの部屋では桜、連が就職を完了させていた。

桜はショーパブに、蓮は某会社の社長になっていた。

桜】『今勝くんと高弘の奴が行ってるよ〜』
待合室に戻ると、他のメンバーが手を振る。
どうやら惚乃花はやたらと時間がかかったらしい。

藍】『勝さん遅い〜』

藍は退屈そうにしている。
ジャンケンで負けまくり順番が最後になったせいで待ち疲れして気力もかなり減っている。
オマケに勝まで席を外したので完璧に不機嫌モード全開だった。

ぐだぐだしてる藍を放っておいて、惚乃花たちは自分の職業について雑談を始めた。


[次の章]

[*前へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!