篠田学園-1部-
5
小さく悪態をつく玲也に思わず小さく吹き出してしまった。
「てか何でこの階来れるんだよ、この階は生徒会以外立入禁止の筈だろ?」
「これ見ろよ」
無理矢理話を逸らす玲也に笑みを零しながら、俺は勇に貰ったカードキーを取り出した。
「勇さんの力って偉大だね」
「理事長か…」
理解したのか、小さく苦笑する玲也に俺も苦笑した。
「で、蓮となにがあったんだ?」
「なんかあった、訳じゃないんだけどな…」
なんと言ったらいいのだろうか。
取り敢えず最初から全て説明してみた。
その間俺の隣に座り、ずっと手を握っていてくれた玲也には感謝だ。
「…てなかんじ」
話し終わってみればたいしたことはなく、むしろ何も言わずに逃げて来て蓮に失礼だったかもしれない。
そんな事を考えていたら不意に玲也に抱きしめられた。
「玲也?」
「馨に関わって、後悔した人間なんざいねぇよ」
「え…?」
小さく低く呟かれた一言は、普段の玲也からは想像もできない程怒気を含んでいて。
「俺も、慶輔も、修吾も康輝も、Butterflyの奴らも後悔してねぇ」
「……」
「だから、お前も関わり持った事を誇りに思え」
言い終わるや否やぎゅっと強く抱きしめられ、俺の瞳は涙を零した。
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