篠田学園-1部-
7
お互い顔を見合わせてクスクスと笑った。
「あ、明後日この部屋来いよ」
不意に真剣な表情になった玲也に俺は息を呑んだ。
「なんで明後日?」
「四神集めてミーティング、問題があってな」
「え…?」
頭が真っ白になった。
「俺、もう…」
「そうも言ってらんねぇの、カズがやらかした」
“ほら、送ってやるから”
目を見開く俺に苦笑して、玲也は俺を抱き抱えたまま立ち上がった。
「ちょ、下ろせ」
「せめて玄関までくっつかせろよ」
ぎゅっと強く抱きしめられ、何も言えなくなった。
「明後日、何時だよ」
「5時頃、授業終わったら寮まで迎えに行くから」
結局そのままの体勢で玄関まで運ばれてしまった俺は、有無を言わせず部屋まで送られてしまった。
玲也は特に部屋に上がろうとはせずに、用事があると言ってそそくさと帰って行った。
「ったく…」
“カズ”
その名前を聞いたのは何ヶ月振りだろうか。
イギリスでジェフリーと再会してしまったのだ、いつかは動くと思っていた。
しかし、こんなに早いとは予想だにしていなかった。
「どうしろっつーんだよ…」
小さな呟きは広く暗い部屋に溶け込んで無くなった。
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