篠田学園-1部-
Home
いつの間にか空を飛んでいた飛行機から見える懐かしきイギリスの地。
本当は学校行事としてじゃなくて、俺個人の旅行として行きたかった。
そしたらHomeに顔出して、マスターに謝って…
本当に、切実に、昔に戻りたい。
6 years ago──
その日俺は、いつものように母から殴られていた。
篠田馨夜、8才。
《あんたなんか生まれなきゃ良かった!!!》
物心つく頃にはもう始まっていた虐待。
まだ小さかった俺には、それから逃れる程の頭は無くて。
日に日に激しくなる暴力を成す術もなく受け入れるしか無かった。
《誰が来ても無視するのよ、篠宮には一人しか子供はいないのだから》
最早、“行ってきます”の代わりになった台詞を吐き捨てるように叫び、母は玄関を出て行く。
父は滅多に帰って来ないし、帰って来ても弟の薫を可愛がるだけで、殴る時以外は目も合わせない。
家庭教師はとっくに来なくなった。
教える事が無くなったと言っていたが、外に出た事のない俺にはそれが本当の事なのかは分からない。
俺は完全に孤立していた。
最近は御飯(残り物)すら貰えず、その代わり大量のお金が渡される様になった。
勿論その時も顔を合わせる事はない。
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